第5章 突然の遭遇──
「何!?オーナーが死んだ!?」
オーナーが崖下に転落してからしばらくして、部屋に戻っていた者たちも続々と外に出て来た。
平次君が後から来た人たちに説明すると、メイドさんは「どーして旦那様が……」と怯え切っていた。
「自殺だよ、自殺!」
小五郎さんが眠たそうにあくびをしてそう言った。だが戸叶さんが「他殺かもしれない」と異論を唱える。
「僕も転落するのを見ていましたが、スピードはかなり遅かった……。オーナーをあらかじめ眠らせたか殺したかして車のシートに座らせ、ギアをドライブにしておけば車は自動的に発進する……」
そして戸叶さんはガレージを指さした。
「犯人がその作業をしたのは、おそらくあのガレージの中……」
「な、なるほど……。車が転落するのを見届けた犯人は、爆音を聞いてここに駆けつけたふりを……」
藤沢さんが納得したように言った。戸田さんが騒ぐ。
「じゃあもしかして私達の中に犯人が!?」
「まぁそういうことに……」
戸叶さんは眼鏡を押し上げてカッコつけたが、そのカッコつけをしれっと私が裏切る。
「でもあの車は途中でスピード上げましたよ?」
「え?」
戸叶さんが驚いたような顔をした。平次君も「ほんのわずかやけどな」と同調する。
「そら見ろ、自殺だ自殺!あんたら推理小説の読み過ぎなんだよ!」
「まぁ、まだ自殺とは決まっていませんけどね……」
私が苦笑いすると、小五郎さんは「だがよぉ瀬里奈ちゃん」と話し始めようとしたが、平次君がそのまま続けた。
「それに気になる点はまだある……。車の中でしてた風の出るような妙な音……あれはエンジン音とは違うてたで!」
平次君がそれを指摘すると、川津さんが「クーラーの音じゃないか?」と意見した。
「とにかく家の中で待機」という小五郎さんの一声により、参加者たちはペンション内に戻った。「コナン君は私が連れてくから、蘭ちゃん先戻ってて」と私が言ったことで、蘭ちゃんは先にペンションに戻る。
「……で?コナン君は何してるのよ?」
「ああ、ちょっと探し物……」
「あっ、危ない……」
その時、ゴッ!といういい音がして、平次君とコナン君の額がぶつかった。
「だ、大丈夫?てか、何してんの?」
「オレはホンマにクーラーを使うてたかどうか調べとっただけや!そしたらまたこのガキが……」