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白い雪【名探偵コナン】

第27章 ギスギスしたお茶会


「どこが間違ってましたか?」

高坂さんにそう確かめる安室さんに、別府さんは「どこにそんな証拠が……」と頑なに反論しようとしていた。

と、コナン君が高坂さんの左手を取った。

「あれれ?おばさんの左手の親指……。赤くなってるよ?」

そう、実は犯人には現場から消し去らなければいけない物がもう1つあった。
それは須東さんが最初に飲んでいたカップについた口紅。
入院患者である高坂さんのカップに口紅が付いていたら不自然だから。
それを咄嗟に指で拭って消したんだろうが、口紅というのは石鹸などを使わないとなかなか落ちないのだ。
つまり、その赤色と須東さんの口紅の色が一致すれば立派な証拠になる。

「それに、すり替えられた須東さんのカップを調べればそれも証拠になるんじゃないですか?大量に重曹が混入されているだろうし……」

恐らく、テーブルにあった角砂糖に重曹をまぶし、容器の底にでも隠していたのだろう。ハーブティーに砂糖を入れても怪しまれることはないから。

そこまで追い詰められ、高坂さんはやっと自供した。

高坂さんの息子さんは須東さんの息子さんからインフルエンザをうつされ、自身の息子のお受験がダメになってしまった。
それだけならまだよかったのに──

インフルエンザは高坂さんにもうつった。
高坂さんはその頃、お腹に赤ちゃんがいたのだそう。妊婦がインフルエンザにかかると胎児に悪影響を及ぼす。おかげで高坂さんは流産してしまったのだ。
『運がなかった』『油断していた』と思っていた。
後日訪ねてきた須東さんの息子さんからあんなことを聞くまでは──


『どうしたの恒夫君?』
『東治君に謝っといて……』
『気にすることないわ……。恒夫君も風邪だと思ってたんでしょ?』
『ううん……インフルエンザだって分かってたんだ……。ボクはもう治りかけてたんだけど……』

その後の言葉は高坂さんに衝撃を与えた。

『母さんが、「最後の追い込みなんだから勉強しに行ってきなさい!それでライバルが1人でも減るんなら超ラッキーじゃない』って……』


「ひどいのは私も同じですよ……。あなた達を疑わせて、罪を逃れようとしてたんですから……。でも残念です……。バタフライピーには解毒作用もあるから選んだんですよ……。もしかしたら私の中で燻るどす黒い殺意を……犯行前に浄化してくれるかもしれないと思って……」

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