第27章 ギスギスしたお茶会
「レモンの酸性に反応して赤く変色したんです。これと同じ反応をするハーブティーは他にもありますよ?ブルーマロウとか……」
レモンを入れると水色からピンク色に変わるアレだ。
「当然、酸性で赤くなるなら……」
私は病室にあった戸棚を開けた。
「高坂さんがカップを磨くのに使っていたという、アルカリ性であるこの重曹を加えたら……」
私はコナン君の持ってるカップの中にあるレモンを取り出し、代わりに重曹を加えた。
「ね?また青色に戻るってわけ!」
高坂さんの行った犯行の流れはこうだ。
まず、須東さん達が見舞いに来ると知った高坂さんは、須東さんだけ少し早めに呼び、お茶会をやるからといってお湯をもらいに行かせた。
その間、入院時に持ち込んでおいた毒を自分のカップの反対側の飲み口に塗り、毒の容器を病室の外に捨てたのだ。
そして見舞い人3人が揃い、『どーせお茶会をやるなら飲み比べをやろう』と持ち掛け、須東さんがハイビスカスティーを選ぶのを待った。
「何でわざわざハイビスカスティー?他の紅茶でも……」
「ハイビスカスティーはレモンを入れて赤色に変色したバタフライピーの色によく似てるんです。ハイビスカスティーは少し紫がかった赤色ですしね……」
怪訝な顔をする小五郎さんに私はそう説明した。
そして思惑通りハイビスカスティーを選んだ須東さんのカップに、あらかじめ中身をバタフライピーに入れ替えておいたティーバッグを入れ、その上にレモンを載せてお湯を注げば──
まるでハイビスカスティーのような赤いバタフライピーを須東さんに出せるというわけだ。
そう説明した安室さんに、小五郎さんは「んじゃ、それをどうやってすり替えたんだ?」と訊いた。
「自分の携帯に入れた写真に須東さん達が夢中になっている時ですよ!」
まず、毒付きの自分のカップに入った青いバタフライピーにレモンを浮かべて赤くして、須東さんのカップを押し出すように置いた。
そして自分のカップを取ると見せかけて須東さんのカップを取り、そのカップのレモンを取り除いて重曹を入れ、青色に戻す。
仕上げに最初に置いた毒付きのカップを同じように少し押し出すように置けば、毒付きのカップは須東さんから見て左側に取っ手があるため、携帯の写真に気を取られている須東さんに毒付きのカップを左手で取らせることができるという算段だ。