第27章 ギスギスしたお茶会
小五郎さんが安室さんに怪訝そうな目を向けた。
「で?どうなんだ?お前分かってんのか?」
「え、ええ……。今の瀬里奈さんとコナン君のヒントで何となく……」
安室さんは軽く笑ってそう言った。次の瞬間にはニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる。
「その人物は事前に毒を塗ることも、その毒の容器を捨てることもでき……犯行当時、この病室から一歩も出ることなく……毒を塗った自分のカップを被害者のカップとすり替えるチャンスを虎視眈々と狙っていた人物……。
それは高坂樹理さん……あなたしかいませんよね?」
安室さんがそう言うと、言葉が出てこないらしい高坂さんに代わり、八方さんが慌てて反論した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!最初から自分のカップに毒を塗ってたって……樹理はずっとそのカップでハーブティーを飲んでたのよ?」
「忘れたんですか?毒がついていたのはカップを左手で持った時の飲み口……。カップを左手で取らないように気をつければ……毒を口にすることはありませんよ……」
おそらく、毒は入院する前から持ち込んでおり、被害者が見舞いに来る当日に自分のカップに毒を塗り、容器は部屋の外のどこかに捨てたのだ。
「ですよね?」
安室さんが高坂さんに確認をすると、今度は別府さんが噛み付いた。
「あ、あんたこそ忘れてんじゃないの?樹理が飲んでたのは青いハーブティーで伶菜が飲んでたのは赤いハーブティー!いくらレモンが浮いてたからって取り違えるわけないじゃない!」
それを聞いた安室さんは自信満々の笑みで言った。
「そう……。そのレモンこそが……このトリックの肝だったんですよ……」
安室さんのそばではコナン君がバタフライピーのティーバッグでお茶を淹れた。
「わぁー、ホントに青色だー!バタフライピーって不思議なお茶だね!」
コナン君はそう言いながらバタフライピーにレモンを入れた。すると──
「あれれ〜?おっかしいぞー!」←
……出た、コナン君お得意の『あれれ〜おっかしいぞ〜?』。
そんなバカみたいなことを考えつつ、コナン君の持ってるカップを覗き込んだ。
「青いお茶だったのに……レモン入れたらどんどん赤くなってるよ!」