第5章 突然の遭遇──
そして事件は、次の日の夕食後に起きた。
「おいしかったー!」
美味しい夕食をみんなが食べ終えてもオーナーは姿を現さなかった。
「それにしても全然姿を見せないな、オーナー……」
藤沢さんが口を拭きながら壁掛け時計を見て言った。
「早くオーナーを呼んで、このテストの採点を始めてちょうだいよ!」
と綾子さんが不満そうにメイドさんに言うが、メイドさんは
「で、でも……私は旦那様が夕食後にここにおいでになるまで、お客様をもてなすように言われておりますので……」
と言って、綾子さんの要求を拒否した。
それからしばらく全員がダイニングで談笑していたが、12時を少し過ぎた頃、藤沢さんがいい加減キレてダイニングを出て行った。それに続くように戸田さん、川津さん、清水さんがダイニングを出て行った。
「アホらし、オレも寝るぞ!」
小五郎さんですらそこを出て行ったが、私とコナン君、蘭ちゃん、平次君、戸叶さん、綾子さんの6人はダイニングに残っていた。
「もう3時過ぎたよ……私もう眠い……」
「あかん、オレももう限界や……」
私がふぁ、とあくびをすると平次君も頬杖をついて同調した。
ふと、戸叶が窓の外を見て「ん?」と言った。気になって私も窓のそばに寄ってみる。
「何だあれ?オレ達が乗って来た車じゃねーか……」
「誰よ今頃……」
戸叶さんと綾子さんがきょとんとして言う。
「あら、あれオーナーが運転してません?」
私が言うと、綾子が頷いた。
「本当だわ」
「ホラ、僕の思った通り!やっと始まるのさ、推理クイズがね!」
「さっすが研人♡」
ここのバカップルは置いといて。
オーナーの様子が何かおかしい。
「え?ね、ねぇ蘭ちゃん……向こうは確か……」
「は、はい……。崖……でしたよね?」
2人で顔を見合わせ、もう一度車を見る。やはり止まる気配はない。
と、窓を開けてコナン君と平次君が車を追いかけた。
「あっ、スピード上げたわ!」
2人で車を止めようとしているようだが、──車は“運悪く”崖下へ転落してしまった。
崖下で大きな黒煙と炎を上げて……