第27章 ギスギスしたお茶会
私は何も言わずに彼から目を逸らした。
「おい、どーした?」
いつの間にか後ろにいた小五郎さんが安室さんの肩を叩く。
「流石のお前もこの毒殺事件は解けねぇか?」
小五郎さんはからかうようにそう笑った。安室さんも少し困ったように笑う。
「毛利先生も解けてないんでしょ?だったら僕に解けるわけありませんよ!」
それを聞いた小五郎さんは次に私の方を向いた。
「瀬里奈ちゃんはどうだ?この事件、解けたか?」
「え、私!?」
まさか私に振られるとは思っていなかったから、私は心底驚いた。
「解けた……かもしれないけど、私探偵じゃないし……。こーゆーのは謎解きの専門家にお任せしますっ!」
私はへらっと笑ってそう言った。
ふとコナン君の方に視線を送る。と、彼は蘭ちゃんとの会話で何かに気づいたのか、ハッとした顔になっていた。
「ちょっとォ〜!」
蘭ちゃんが止めるのも聞かずに走り出すコナン君。それを見た私は苦笑いで蘭ちゃんに近寄った。
「コナン君は私が見てるから、蘭ちゃんは英理さんトコ行って来たら?」
それを聞いた蘭ちゃんは少しきょとんとしていたが、私なら大丈夫と信用してくれたのか、「じゃあ、お願いします……」と言って英理さんの病室の方に駆けて行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ティーカップの飲み口?そこに毒が塗ってあったんですか?」
高坂さんがそう言った。
高木刑事の報告によると、被害者の須東さんが口をつけ、ハーブティーと一緒に毒を飲み込むように口紅が付いていた辺りの飲み口に毒が塗られていたらしい。
カップの中のハーブティーからは毒物反応は出なかったらしいし。
「じゃあ私達の中の誰かが、伶菜の飲む直前にカップに毒を塗ったっていうわけ?」
「そんなことをしたら誰かが気づくんじゃないかしら?」
「いませんでしたよ?そんな方……」
別府さん、八方さん、高坂さんが口々にそう言った。
自分のカップに毒を塗ってすり替えたとしても、4人共全然色が違うハーブティーだったため、すり替えてもすぐバレてしまう。