第27章 ギスギスしたお茶会
それに対し安室さんは「あ!もういいです……」とにこやかに流した。そして私と小五郎さんの方を向く。
「お2人ならどうです?突然名前を出されて『知ってるか?』って訊かれたら……」
「え、そりゃあ……」
「今のオバサン達みたいに……」
私と小五郎さんは戸惑いつつもそう答えた。安室さんはドヤ顔← でタネ明かしをした。
「そう……。大抵の人は自分の記憶に絶対の自信はないんです……。だから普通はNOと言う前にその尋ね人の名前以外の情報を知りたがる……」
そして安室さんはコナン君に笑いかけた。
「君はすごいよ!名前だけで知らない人だと確信できるんだから……」
私はコナン君と安室さんを見比べ、苦笑いをこぼす。
そのそばで、エレベーターを待っている子供が「3!2!1……」とカウントダウンを重ねていた。そして──
「ゼロー!」
少年がそう言った途端、安室さんがバッと少年の方を向いた。
彼はその少年がエレベーターに乗り込むまで食い入るようにじっと見つめていた。
「ん?どうかしたか?」
小五郎さんに訊かれ、安室さんはポーカーフェイスを保ったまま答えた。
「あ、いえ……僕のアダ名も『ゼロ』だったので、呼ばれたのかと……」
「何でゼロ?確か名前、透だったよな?」
「透けてるってことは何もないってこと……。だからゼロ……。子供がつけるアダ名の法則なんて……そんなモンですよ……」
私はじっと安室さんを見つめた。それはコナン君も同様だったらしく、怖い顔で彼を見つめているコナン君に私は苦笑いした。
その後は4人で歩きつつ、他愛もない世間話をしていると──
「キャアアアアア!!!」
病院内に悲鳴が響き渡った。
悲鳴が聞こえた病室のドアをノックする。
「あのー……どうかされましたか?」
安室さんがドアを開けながらそう言った。部屋の中には──
「伶菜!?伶菜ァ!」
先ほど廊下で会ったオバサン達と入院着を着ている女性、そして喉元を押さえて倒れている女の人がいた。
「──!」