第27章 ギスギスしたお茶会
「え?杯戸中央病院?」
バイトが終わり、私は安室さんに誘われて車に乗っていた。
「何でまた……」
「少し調べたいことがありましてね。……瀬里奈さんは楠田陸道という男を知っていますか?」
「……!楠田陸道……って杯戸中央病院に入院してた組織の工作員?」
「……やはりそこまでしか知りませんか」
「はぁ?何なんですか本当」
私がムッとして言うと、安室さんは苦笑いを返して来た。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
病院に着くと、特に病気とかもしなさそうな小五郎さんとコナン君がいた。
「何してるんですか?」
「いや、ちょっと女房がな……」
話を聞くと、小五郎さんの奥さん・英理さんが虫垂炎で手術を受けたらしく、2人も病院に駆け付けたのだとか。
「英理さん大丈夫なんですか?」
「ああ、ピンピンしてるよ……」
「よかった。盲腸って侮ると危ないから……」
小五郎さんと話していると、コナン君が怖い顔で安室さんを見ていた。
「でも2人は何でここに?」
小五郎さんに訊かれ、安室さんは肩をすくめて見せた。
「知り合いが入院してるって聞いて、2人で見舞いに来たんですが……いつの間にかいなくなったみたいで……」
私も隣で苦笑いする。
安室さんがコナン君に合わせて少し屈みながら訊いた。
「コナン君は前にもここに来たことがあるって看護師さん達が言ってたけど……知ってるかい?楠田陸道って男……」
安室さんがそう訊くと、コナン君は「誰?それ……。知らないよ?」とあっさり答えた。
「実はその男にお金を貸してて返して欲しいんだけど……ホントに知らないかい?」
「うん!」
コナン君はしっかりと頷いた。
私はふぅ、と軽くため息をつく。安室さんは「すごいね君は……」と呟き、意味深に笑った。
私がその言葉にハッとすると、安室さんは近くを通りかかった見舞い客であろう女性2人に声をかけた。
「あのー、ちょっとすみません……。楠田陸道っていう入院患者知りませんか?」
すると女性達は「さぁ……どんな方?」「年は?その方の写真とかあるかしら?」と他の情報を聞き出して来た。