第26章 ジョディの追憶とお花見の罠
哀ちゃんが言っていた言葉──1枚1枚は花びらなのに、散りばめればまるでピンクのカーペット……。
そういうことか!
私はふとコナン君の方を見た。彼もニヤリ、と悪戯っ子のように笑っている。どうやら彼も事件の真相に辿り着けたようだ。
「しーんいち♡」
「ぅわ!?驚かすなよ……。っていうかあそこにいなくていいのか?」
「いいのいいの、あそこ何か息苦しいし〜」
「オイオイ……」
「……で?事件の真相、分かった?」
私が真面目に訊くと、コナン君も真面目に頷いた。
「そ。……じゃあ答え合わせする?」
「その前に……頼みがあるんだけどよ……」
「え゛」
その間にも、目暮警部と高木刑事が「犯人に連れがいたとして、こっそり凶器を手渡していたとしたらこの神社に来ている花見客全員を調べないと」と話していた。
「その必要はないと思いますよ?」
いつの間にか子供達のそばに立っていた私に、2人はとても驚いたようで、目を丸くさせていた。
「だって──犯人はまだ、凶器の一部を隠し持ってるんですもの……」
「い、一部を?」
高木刑事は目を見張った。
私はクスリと笑って続ける。
「ええ、そうです。犯人はそれを使って凶器を束ねたんです……。いや、1つにまとめたという方が正しいかな?」
「1つにまとめた?」
ジョディさんが怪訝な顔をした。
私はこくりと頷く。
「ええ……。ある物を大量に集め、1つにまとめたんです……。そして、それがたくさん見つかっても怪しまれない場所に隠したんです!子供達に声をかけてうまい具合にカムフラージュして……」
子供達が不思議な顔をする。
最初に候補に上がったのはおみくじを結ぶ所で子供達と話をした坂巻さん。だがおみくじをどんなに束ねても人を撲殺できる凶器にはならない。
次に上がったのは手水舎で会った弁崎さん。手水舎にひしゃくがたくさんあったから、あの中に鉄の柄のひしゃくがあった──としても、とっくに警察が見つけているだろう。
最後に残ったのは、鈴を鳴らす所で会った段野さんだが──鈴は2つしかなかった。
そこで引っかかってしまった子供達に、コナン君が助け舟を出した。
「オメーら鈴を鳴らす前に何かしなかったか?」
その言葉で子供達がハッとする。