第26章 ジョディの追憶とお花見の罠
免許証の写真を見た子供達が「この人を見た」と口々に言い出した。ジョディさんに話しかけて来た男の人らしい。
次に手に取った長財布はプリクラが貼ってあった。
「あー!そのお姉さんも知ってるよ!」
「鈴の鳴らし方を教えてもらいました!」
「まだその辺にいるんじゃねーか?」
最後に赤いがま口の財布だ。
小吉のおみくじが1枚入っている。
この財布の持ち主も子供達は知っているようだった。
子供達は高木刑事に付き添ってもらい、その3人を捜しに行った。
犯人はお返しと言わんばかりに遺体のそばに黒い五円玉を置いていっている。こんな独特な五円玉はすぐに用意することは出来ない。
だから、私も含めたその4人の中で黒い五円玉を持っていない人が犯人のはず。
そう睨んでいたのだが──
現場に来た3人は全員黒い五円玉を持っていた。
免許証入りの財布の持ち主は弁崎桐平さん。
長財布の持ち主は段野頼子さん。
赤いがま口の財布の持ち主は坂巻重守さん。
「とりあえずあなた方のボディチェックと……所持品と携帯電話を調べさせてもらいましょうか……」
目暮警部がそう言って、私達4人はボディチェックを受けることになった。
「あら、あなたもしかして歌手の……」
私のボディチェックをしていた婦警さんにそう言われ、私はあわわ、と婦警さんに口止めをした。
──第三者side
容疑者の4人のボディチェックを少し険しい顔で見ているジョディ。そんな彼女にコナンが気づき、「ジョディ先生何か気づいたの?」と声をかけた。
「いや……前に君が録ってくれたビデオに映った男を思い出したのよ……。ホラ、病院に潜入してる組織のスパイを割り出すために、わざと携帯を落として拾わせたでしょ?」
そしてジョディは顎に手を添えて思い出すようなそぶりを見せた。
「最初に拾ったあの太った男が脂性だったなーって……。結局次に拾った男がスパイで……。最後のおじいさんはペースメーカーを付けてて……。そしてその携帯をシュウが……」
ジョディの脳裏にその時の映像が浮かび上がる。
そう、その時赤井は3人に拾わせたコナンの携帯を手に取り──
『いくらボウヤでも……そいつは出来ない相談だ……。後は我々に任せるんだ……』
何かに気づきかけたジョディに、コナンが声を荒げた。
「ね、ねぇ!そんなこと今関係ないんじゃない!?」