第26章 ジョディの追憶とお花見の罠
「しかしなぁ……スった本人が死んでしまったんなら、被害者を見つけようにも……」
目暮警部がそう言った時、コナン君の探偵バッジが鳴った。
ピ、とコナン君がバッジのスイッチを入れる。とまずは光彦君の声が聞こえた。
《コナン君!見つけましたよー!場所はおみくじを結ぶ所の横に置いてあったゴミ箱です!》
《オレも見つけたぞ!水飲んだ所のそばのゴミ箱の中でよ!》
元太君の声だ。
次に歩美ちゃんの声が聞こえる。
《あー!あったみたいだよ!鈴を鳴らす場所のゴミ箱の中に!今、神主さんに取ってもらってるトコ!》
最後に哀ちゃんの声。
《こっちは現場のトイレの先のゴミ箱の中……。回収されそうだったゴミを無理言って探させてもらったわ……》
「そっか、財布……」
私はポツリと呟いた。
スリはスった財布のお金だけを抜いて捨てるから、その財布の中身を調べれば財布の持ち主が分かるかもしれないというわけだ。
子供達が持ち帰って来たのは4つの財布。
「あ、そのピンクの財布は私のです!」
私はリ○リサの財布を指差して言った。
結局また事件に巻き込まれちゃった。しかも今回は容疑者の1人。
はぁ、とため息をつくと、人混みをかき分けて女の人が駆け付けた。
「瀬里奈ッ!」
「え、珠希さん!?車は?」
「停めて来たわよ!それより何なのこの騒ぎ?」
「あー……。実はかくかくしかじかで……」
ざっくりと事情を説明する。珠希さんは大きくため息をついた。
「……あんたは死神に憑かれてるの?」
「分かんない……。でも夜までには終わりますよね?」
私は目暮警部を振り返った。警部はこくりと頷く。
「ああ、多分だがな……。仕事があるのかね?」
「ええ、夜から……。今は急に休みが取れただけなので……」
私はそう言って苦笑いする。
目暮警部はまた財布に目を戻した。
「……となると殺人犯は……」
「瀬里奈さんを含む4つの財布の持ち主の中にいる可能性が高そうですね……」
高木刑事もそう言った。
「お!この黒い財布の持ち主は分かるな……車の免許証入りだから……」
目暮警部は黒い折りたたみ財布を手に取った。