第26章 ジョディの追憶とお花見の罠
おばさんとぶつかってからしばらく経った後。ふと見ると、木陰の方で人だかりが出来ていた。
「何かしら……?」
私は好奇心で野次馬が集まっている方へ行った。すると──
「博士!?何してるんですか……」
「お、おお瀬里奈君!大変じゃ、殺人事件じゃよ!」
「さ、殺人!?」
私は博士にそれを聞き、人だかりをかき分けて現場へ入った。
「……!」
私にぶつかった小太りのおばさんが、頭を殴られて死んでいた。
「皆さんここから離れてください!誰か、警備員を呼んで来て!」
「ワシが呼んでこよう!」
「お願いします博士!」
博士がいるということは多分新一達もいるはず。ならば──
「もしもし新一!?この神社にいるでしょ!?近くの野次馬のところに来て!」
『は?いきなりどーしたんだよ瀬里奈……』
「早くして!殺人事件よ!」
そう言って電話を切る。私は1つ深呼吸をして被害者の様子を見た。
(死因は撲殺ね……。……ん?これは……)
私は女性の右手のそばに落ちている五円玉を見た。
マジックで黒く塗られている。
「これは……黒兵衛!」
私がそう呟くと、コナン君とジョディさんが駆け付けた。
「新……コナン君!何でジョディさんも来てるの?」
「ちょっと先生に話があってさ!それより、この人……」
「2人も知ってるの?」
私はコナン君に訊いた。
「さっき先生にぶつかった人だよ!」
「そうなの……。ねぇ、それよりコレ……」
私は遺留品を崩さないように黒い五円玉を指差した。
「マジックで黒く塗られた五円玉……。黒兵衛か!」
「……やっぱりそう思う?」
2人でそう話していると、ジョディさんがきょとんとして私達に問うた。
「黒兵衛?」
「スリの字(あざな)です……。スった相手の懐に黒い五円玉を3枚忍ばせることからそう呼ばれてるんです……」
「何でそんなことを?」
「さぁ……。噂だと語呂合わせで五黒三(ごくろーさん)ってことで、自分にスられるために稼いでくれてご苦労さんって意味らしいですけど、ハッキリしたことは……」