第25章 果実が詰まった宝石箱
「はぁ?マジックショー?そんな物を見せるためにワシらと容疑者を呼びつけたのかね?」
「しかもやるのはあのボクっ娘かよ?」
目暮警部と小五郎さんが怪訝な顔をしながらそう言う。呼びつけた私は「まぁまぁ……」と2人を宥めた。
「多分、見たらビックリしますから……」
そう言って、私が使っていた控室に皆さんを入れた。
そこには──
「ようこそ……。世良真純の魔法の館へ……」
世良さんは例の箱の上に座っていた。
被害者が入れられていた箱に似た箱を大道具さんに頼んで用意してもらったのだ。もちろん、南京錠と鍵も揃っている。
「んで?何が始まるんだよ?」
小五郎さんが怪訝な顔をする。
「まずは箱の中に何も入ってないのを確かめてくれよ……」
みんなに箱の中を確かめさせ、世良さんは箱の蓋を閉じた。
「んで、箱の蓋を閉じて……。南京錠の鉄のバーを箱の合わせ目の穴に通して……ガチャッとロックする……」
南京錠がロックされ、蓋がきちんと閉じられる。
「じゃあこの鍵を持って一旦部屋の外に出てくれ!」
世良さんは小五郎さんに南京錠の鍵を預け、全員を外に出した。
「瀬里奈さんの話が終わったら入って来ていいから……」
「瀬里奈ちゃんの?何でまた……」
怪訝にそう言う小五郎さんに、私は「まぁまぁ」と言いながら部屋の外に出した。
パタンとドアが閉まったのを確認すると、私は説明を始めた。
「では説明しましょう……。
この事件のキーとなるのは鍵のかかった箱……。フードコーディネーターの春日さんが果実を詰めた箱に南京錠をかけてTV局に送り……それを受け取った樽岡プロデューサーがADの降谷さんにさらに別の南京錠をかけて、春日さんの元へ送り返せと指示をする……。
そして春日さんが自分がかけた南京錠を開けて再びTV局に送り、番組の収録が始まるまで倉庫に保管されていたその箱の中に……なぜ武木さんの遺体が入っていたかという所ですよね?」
もちろん、最初に春日さんが箱に鍵をかけた時、武木さんが箱の中に入っていなかったのはADの降谷さんが確認済み。
さらに鍵は合鍵のない特殊な鍵で、こじ開けることも不可能。
そんな状況で、一体犯人はどうやって遺体を入れたのか。
「その答えがコレなんです!」
私は控室の扉を開けた。