第25章 果実が詰まった宝石箱
最後に入って来たのは春日さん。
TV局側の鍵のチェックをするために30分くらい中にいたという。念入りにじっくり調べ、後で武木さんに見せようと写真を何枚も撮っていたらしい。まぁ、完全に鍵がかかっていたため、その日はそれで家に帰ったそうだが。
そして春日さんが出た後は、次の日スタッフ数人が箱を持ち出すまで倉庫には誰も入っていない。
「つまり、プロデューサーの樽岡さんと……ADの降谷さん……そしてフードコーディネーターの春日さんの3人の中に……武木さんを殺害した犯人がいるというわけですな……」
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「──とまあ……容疑者は3人に絞られたが……。一体誰が犯人なんだ?」
小五郎さんがそう言った。
というか、そもそも鍵を開けた方法が謎だ。
「……にしても何であんなに詰めてんだ?チャンピオンとチャレンジャー2人合わせても番組中に10個も使わねぇだろーに……。なぁ瀬里奈ちゃん」
小五郎さんに言われ、私は苦笑いで答えた。
「箱一杯の方が見栄えがいいからですよ……。余ったフルーツは収録が終わった後、毎回ギャラリーに抽選で配るし……。毎回、滅多に手に入らないような珍しいフルーツだから……それ目当てのギャラリーも多いんじゃないですかね……」
まぁ、箱は少し上げ底にして、重たくなりすぎないようにしているそうだが。
「ホー……」
「でも、まずは鍵を開けた方法ですよね……」
「まぁ、そんなのはあの謎に比べりゃ些細なことだが……」
コナン君と世良さんが「あの謎?」「何なんだそれ?」と驚いたような顔をする。
「おいおい……。気づいてねーのかよ?」
小五郎さんは信じられない、と言わんばかりに目を見開いた。
「ヨーコちゃんの後ろ髪だよ!この前の生番組じゃ結構短かったのに今日はロング……。あの成長スピードは尋常じゃねえ!」
……大真面目に話すから何かと思えば。
「ああ、あれ多分エクステだよ!」
「ヘアーエクステンションの略で、いわゆる付け毛よ!」
いつの間にかスタジオに降りて来ていた蘭ちゃんと園子ちゃんがそう言う。
「ヨーコちゃんの場合は髪留めの所でうまく誤魔化してたんじゃないかなぁ……」
蘭ちゃんがそう言い、私とコナン君はハッと気づいた。──そういうことか!
と、世良さんが私とコナン君の肩を掴み、八重歯を見せてニコニコと笑った。