第25章 果実が詰まった宝石箱
「バレてると思ったんじゃない?6週連続で勝ち続けてるチャンピオンの栗村さんに……」
「え?」
いきなりそう言ったコナン君に、目暮警部がきょとんとする。
「そのチャンピオン、お題のフルーツに合う材料をいつも持って来てたみたいだから……もしかして箱の中身を知ってるんじゃないかってね!」
それに気になるのはもう1つ。
「それより気になるのは武木さんが今日、スタジオ入りどころかこのTV局に来てないことさ……」
「え?ホントに?」
高木刑事がびっくりしたように世良さんを向いた。
「昨日打ち合わせを終えて、TV局を出られたのは知ってるんですけど……。ね、ヨーコさん」
「ええ……」
私とヨーコさんも頷く。
と、千葉刑事が慌てて走って来た。
「め、目暮警部!どうやら武木さん……昨夜、時代劇のエキストラに混じってTV局にこっそり入っていたようです!」
「何!?」
自分がTV局にいないと思わせ、相手に尻尾を出させやすくするためか。武木さんはいつも着物を着てらしたから、エキストラに混ざりやすそうだし。
「そうなるとその箱が保管してあった倉庫に武木さんが潜んで、犯人を待ち伏せてた可能性が高いよ……」
世良さんがそう言った。小五郎さんが怪訝な顔をする。
「え?何で?」
「箱の蓋の合わせ目の所やその内側に、血を拭き取った跡が残ってたんです……。それはつまり、箱が置いてあった場所が現場ということでしょ?」
私がニッコリ笑ってそう言う。
世良さんもニヤ、と笑った。
「武木さんはそこで殺されたんだよ……。箱をこっそり開けた犯人にね……」
その後、みんなで防犯カメラの映像を見ることになった。
カメラは入口の所にしか付いていないので、容疑者を絞るためにその映像を見る。
まず最初に倉庫に入って行ったのは武木さん。辺りを見回しながら倉庫の中に入って行く。
次に入ったのは樽岡プロデューサー。箱がちゃんと届いたかを確認しに入ったらしい。だが箱の置き場所をド忘れして探し回ってしまい、30分くらい入っていた。
その次はADの降谷さん。箱のチェックは早々に済ませ、メールをチェックしながら3、4本タバコを吸っていたそうだ。局内はほとんど禁煙な上、ADは忙しくて吸う暇がないから、という理由らしい。彼も入っていたのは30分くらい。