第25章 果実が詰まった宝石箱
「ということは運ぶのも彼が?」
降谷、という名前に少しドキリとしたけれど、すぐに表情を取り繕う。
「管理っつっても四六時中箱を見張ってるわけじゃないっスよ!運ぶのは若いADに任せて、自分はそれに付き添うだけだし……」
たまに1人で箱が保管してある倉庫を覗いて、鍵がこじ開けられていないかをチェックするくらいだそう。
それに、蓋のつなぎ目には冷蔵庫などに使われるパッキンが使われているため、匂いで中の果実を判断することは出来ない。それに、南京錠も電子チップが入った特注品だから、こじ開けようにもこじ開けられない。
「ウーム……。となると残るは最初に鍵をかけた春日さんだけだが……」
小五郎さんがそう言って唸る。
高木刑事が「そういえば……」と言った。
「昨夜武木さんに春日さんの住所を訊かれたと別のスタッフが……」
「じゃあ春日さんの家に行ったんじゃ……」
目暮警部がそう言うと、「ええ……」と後ろから声がした。
「確かに武木さんは昨夜ウチに来られました……。丁度箱に果実を詰め終わった後……スタッフの方がその箱を受け取りに来られる前にね……」
フードコーディネーターの春日さんだ。
「どうしてここに?」と言うプロデューサーに、春日さんは「武木さんに呼ばれた」と言った。
「『今回こそは箱の中身をバラしている犯人を突き止めて……番組の中で暴露してやるから拝みに来い』と……」
武木さんが春日さんの家に行った目的は、南京錠のチェックと春日さんへ釘を刺すためだと思われる。箱の中身を知っているのは春日さんだけだから、彼が外部に漏らしているのではないか、と疑っていたらしい。
「ではその後、武木さんは?」
「箱を受け取りに来たスタッフの方と入れ違いに帰られましたよ?……だったよね?」
目暮警部に訊かれ、春日さんはそう答えた。春日さんに確認されたADの降谷さんも頷く。
若いAD2人も見ているから間違いないそうだ。
「それじゃあ遺体を箱に入れるタイミングがないわね……」
それに腑に落ちないのは武木さんの行動。まるで箱の中身が外部に漏れている、と決めてかかっているような行動の仕方だ。
と、コナン君が口を開いた。