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白い雪【名探偵コナン】

第5章 突然の遭遇──


「『緋色の研究』の初版本を進呈致しましょう!」

オーナーがそう宣言した途端、ツアー参加者のほとんどの目が輝いた。もちろん私も少し興味を惹かれた。

「しかしその前に、皆さんがどれ程ホームズに心酔なさっているかという証を見せてもらいます!」
「証……?」

綾子さんが怪訝な顔をして問い返した。と、メイドさんが分厚い紙束を渡してきた。

「今、メイドが皆様にお配りしているのはホームズカルトテスト1000問!」
「せ、1000問!?」

私は思わず声を上げた。オーナーは笑って説明を続けた。

「それを提出する期限は明日の夕食まで……。それで990点以上を取られた方のみ、夕食後の難問クイズに参加してもらいます……」
「と、取れなかったらどうなるんだね?」

藤沢さんが不安そうにオーナーに尋ねた。オーナーはニヤリと笑った。

「フフフもちろん……その時点で、このペンションから立ち去ってもらいます!!こんな不届き者はこの場にいる価値はありませんからな!!」
「ええ〜〜!?」

その場にいる全員が声を上げた。
携帯電話とホームズ関係の書物をメイドさんに預けさせられ、監視カメラと盗聴器がペンションの至る所に設置されているから不正はできない、と言われ、もし不正が分かったら問答無用で出て行ってもらう、と脅された。

「えーっと……」

部屋に入って荷物を片付けてから、ホームズカルトテスト1000問を開いた。

「……どーせ盗聴器は付いていないんでしょうね」

念のために部屋を調べてみたが盗聴器はなく、監視カメラもハリボテだった。
私はこっそり隠し持っていた携帯を取り出し、メールを打ち出した。
送信先は安室さんで、内容は先日のテキーラの話である。『ジンとウォッカ、テキーラって知ってる?』とメールを送信する。返信は秒で帰ってきた。

「……早っ!」

そのあまりの早さに私は思わず声を上げた。

「えっと……なになに?『知ってるも何も、ジンとウォッカは組織の幹部、テキーラは先日爆発に巻き込まれて死んだと聞いていますよ。何で彼らのコードネームを知ってるんですか?』」

……って、言えるわけないよね。
仕方なく私は『色々ありまして……』とだけ返した。

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