第25章 果実が詰まった宝石箱
──瀬里奈side
「えぇ?ボクも行っていいのか?」
「うん!コナン君が是非って……」
そんな会話が前の方から聞こえた。タタタッと駆け寄ると、やはりいつもの4人だ。
「らーんちゃん!」
「わっ!お姉さん!?」
「ふふ、びっくりした?」
私はくすくすと笑った。
「そういえば、ギャラリーに来る人決まったの?」
私は園子ちゃんに訊いた。園子ちゃんは力強く頷く。
「ええ!私と蘭、おじ様と世良さん、あとこのガキンチョですよ!」
「あら、小五郎さんも来るんだ?」
私は少し意外だった。甘い物とか興味なさそうなのに。
あ、でもヨーコちゃんが出るんだっけ。だったら是非とも来るかな……。←
「まぁ、客席で目立ち過ぎて武木さんに目をつけられないようにしてね……。あの人、すごい厳しいから……」
「武木さん?」
世良さんが私の言葉にきょとんとする。
私は知らないか、と苦笑いしつつ説明を加えた。
「日本のパティシエ界の重鎮と呼ばれる、レジェンド・オブ・スイーツの武木正徳さんよ!」
「その人に目を付けられると何かあるのか?」
不思議そうに訊く世良さん。
「番組の中盤ら辺かな?武木さんがギャラリーの中から1人を指名して、自分の作ったスイーツを試食させるのよ!で、それに使われているフルーツを当てられたら、その回で勝ったスイーツが食べられて……外したら即、スタジオから退場させられるってわけ!」
私がそう言うと、世良さんは「げっ」という顔をした。
「た、退場!?」
蘭ちゃんと園子ちゃんがニコニコして話す。
「でもそのコーナー人気なんだよね?」
「そうそう、滅多に当たんないし……」
今のチャンピオンも6週連続で勝っているが、武木さんの採点はいつも辛い。それだけ武木さんは厳しいのだ。
「でもさー、あのチャンピオン怪しくない?昨日だって偶然その回のお題に合うアイスやゼリーを持って来てたし……」
冷めた目でそう言うコナン君に、私は苦笑いした。