第5章 突然の遭遇──
やがてペンションに着いた。
「わーっ!」
「素敵なペンション!!!」
私と蘭ちゃんが口を揃えて言った。ドアの真上にある看板には英語で『Mycroft』と書かれていた。
「なるほど?マイクロフトの集いってわけね」
呟いてペンションの中に入ろうとする。と、ふっくらしたおばさんに声をかけられた。
「お嬢さん、あなた……」
「は?」
「何か大きな隠し事をしてるわね?」
何で分かるの!?私は身じろいだ。
おばさんの名前は『戸田マリア』、占い師らしい。
「気をつけないと、その秘密……誰かにバレるかもしれないわよ!」
戸田さんはウインクしてそう言った。残された私はうーんと考え込んでから、ペンションに入った。
「えっ?新一も声かけられたの?あのおばさんに」
ペンションに入ったあと、オーナー・金谷さんの挨拶の合間にヒソヒソとコナン君と話をした。
「ああ、秘密がもうすぐ誰かにバレるかもって言ってたよ……」
「私も言われた。私とあなたで共通する秘密は……幼児化?」
私が首をかしげると、コナン君も渋い顔で頷いた。
「……だな。こりゃー気をつけてねーとヤバイかもな……」
「同感」
私はびしっとコナン君を指さした。
「今日お集まりの皆様は、私が厳選したいずれ劣らぬシャーロキアンの方々……。どうぞご遠慮なくご歓談いただいて……」
オーナーがにこやかにそういうが、藤沢さんは渋面で小五郎を睨んだ。
「ホームズのホの字も知らない、ド素人が混じっているようだが……」
そんなことを言われた小五郎さんは踵を返そうとするが、オーナーが無理やり小五郎さんを引き留めてみんなに紹介する。
だがこのツアーに参加していた大学生・戸叶研人さんと大木綾子さんのカップルに『ホームズの足元にも及ばない』だの、『あの程度なら僕にもできる』だの言われ、小五郎さんは腹を立ててコナン君に八つ当たりした。
「ちょっ、小五郎さん!コナン君大丈夫?」
「「「「コナン……?」」」」
私がコナン君の名前を言うと、参加者のみんながその名前に反応した。
「おおー!君の名前はコナンっていうのか!!」
「本当かね?」
「まぁ素敵♡」
私達と同じ車に乗っていた川津さん、藤沢さん、そして先ほど不吉な占いをした戸田さんがコナン君の名前を口々に褒め称えた。