第23章 服部平次と吸血鬼館
「でも探偵ってことは毛利探偵のお弟子さんとか?」
あ、そっち?←
平次君は「はぁ?」と声を荒げた。
「何が悲しゅうてオレがあんなボンクラの……」
トントン、とコナン君につつかれ、平次君は慌てて「毛利探偵の弟子」と言う設定をでっち上げた。
「じゃあ分かります?旦那様が体をくるっと回転させたトリック……」
「回転?そんなのありました?」
私は不思議に思って聞いた。
「ホラ、食堂の窓の外から旦那様が逆さに首を出したじゃない……。でもカーテンを開ける前……稲光に照らされた旦那様の影は下から出てたのよ!しかも体が幽霊みたいに透けてたような……」
「す、透けてた?」
私は思わず問い返してしまった。それで何かに気づいたのか、コナン君と平次君は慌てて食堂の窓に走って行く。
「えっ、ちょっと!?」
私も慌てて2人の後を追った。
「姉ちゃん、ここの窓に手ェ届くか?」
「え、多分……」
私は平次君に言われるがまま旦那様の首が見えた窓に手を突き出した。
「これで何が分かるって……」
「じゃあ今度は服部にやってもらえよ!そうすれば分かるからよ!」
コナン君に言われ、私は窓の外に出た。平次君が中からピースサインを出す。と──
「あっ!」
「な?分かっただろ?」
「てことは、問題のアレは──」
私はハッと閃いた。平次君もニヤリと笑う。
「なぁ、さっきの4人、この館によー来てるんか?」
平次君がひかるさんに訊いた。
「子供の頃、母に連れられてここに来た時は皆さんいらっしゃいましたけど……メイドになってからは初めてお会いしましたよ?」
と、ひかるさんの後ろから古賀さんが姿を現した。いつの間にか背後にいるから、少し怖い。←
「皆様が来られるのは約1年ぶりでございます……。皆様、旦那様の様子や容態をよく電話でお聞きになられるんですが……なかなかお越しになられなくて……」
「だから私、てっきり皆さんの中の誰かがおめでたで、それをお祝いするために集まられたと思ってたんですけどね……」
「お、おめでた?」
私は思わずきょとんとして問うてしまった。