第23章 服部平次と吸血鬼館
と、ひかるさんがこちらに慌てて駆け寄って来た。
「あ、あの……」
その表情は慌てていて、怯えている。
彼女が発した言葉は──
「たった今、この館の門番さんから連絡があって……。館の前の森の中で人が死んでるって……」
ひかるさんの言葉に、私とコナン君、平次君は驚いて声を上げた。
「「な!?」」
「何やとォ!?」
私達は慌てて門から外に出た。
そこには──
「か、守与さん!?」
「棒に縛られてるで……」
私と平次君は思わず声を上げてしまった。
「絞殺……殺されてから6時間以上経ってる……」
「あんたら門番やろ?この人と外に出た奴見てないんかい?」
コナン君がライトで守与さんを照らすと、平次君が門番さんに聞いた。だが門番さんは──
「あ、ああ……。大滝って人が口髭の男と車で出かけた後は誰も門から出てないんだ……」
「何ですって!?」
じゃあどうやって犯人は守与さんを門の外へ出したというの?まさか、本当に空でも飛んだっていうんじゃ──
そんな馬鹿げた考えは一旦捨て、私は門番さんの話を聞いていた。
門は家具業者のトラックが来た時だけ開けたらしい。
椅子が古くなったんでまとめて買い替えようと旦那様が何日も前から注文されていたらしい。
だが、積み荷を調べたらソファが積んであり、とりあえず「今日は持って帰ってくれ」とトラックの運転手に頼んだ時、トンネルの崩落があったのだ。それにしばらく見入ってしまったらしいが、それ以外は門から目を離していない。
「その一瞬をつけば、気づかれずに門から外に出られそうだけど……」
「この森で遺体を棒に縛り付けた後で、館ん中に戻る時に見つかってまうな?」
「それに……なんで途中で止めたのかしら」
私は遺体のそばの地面を指差した。
「見て!遺体のそばに穴が掘ってあるでしょう?これって遺体を棒に縛り付けたまま、逆さに立てるつもりだったのよね?」