第23章 服部平次と吸血鬼館
「──ってことはよォ……この部屋で撮ったあの心霊写真もトリックだっていうのかよ?」
「うん!」
岸治さんの言葉に、コナン君はこくんと頷いた。
「とりあえずみんな写真撮った時の位置についてみて!」
コナン君はニコニコして言った。
「ホラ、みんなもっと笑って!平次兄ちゃんもリラックスリラックス!」
その言葉に、4人は一斉に怪訝な顔をする。
「平次兄ちゃん?」
「何を言ってんだ?」
「この部屋には君達も入れて6人しか……」
瑠莉さん、岸治さん、実那さんが言う。コナン君は「いるよ、後ろに!」と後ろを指差した。
全員が後ろを見ると──
「だ、どうなってんだ!?これ、鏡じゃないのかよ!?」
「マジックミラーだよ!」
コナン君がニヤリ、と不敵に笑った。
「片側が暗いと鏡に見えるけど、暗い方を明るくするとガラスみたいに透けちゃうんです……。見破り方は簡単よね?コナン君」
「うん!指をくっつけてみればいいから!」
その言葉に、羽川さんがきょとんとしつつ指を鏡にくっつける。
「普通の鏡だとガラスの後ろに反射膜があるから、本物の指と鏡に映った指の間に隙間ができるけど……マジックミラーはガラスの手前に反射膜があるから、本物と鏡像がくっついて見えるってわけ!」
「まぁ、こっち側からライトで照らしたら服がいっぱい吊ってあるのが見えたしね!」
コナン君のその言葉で岸治さんが部屋の外へ出る。
「と、隣の部屋の……クローゼットか!」
岸治さんの考え通り、クローゼットの奥の壁に引き戸が付いており、開けたらマジックミラーが隣の部屋の鏡の位置にはまっているというカラクリだ。
後は写真を撮る直前にクローゼットの中の人が自分の顔に光を当てれば、鏡の中に人の顔がぼーっと映る心霊写真の出来上がり、というわけだ。
「これで分かったやろ?犯人は必死こいてトリック使て自分を化け物に見せようとしてる……ただの人間やっちゃうことがな!」
平次君曰く、旦那様は犯人の1人。旦那様は重い病気だったから、誰かの手を借りなければ動くことは出来ない。
その共犯者の第一候補は、何時間も姿をくらませている長女の守与さんというわけだ。