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白い雪【名探偵コナン】

第23章 服部平次と吸血鬼館


「でも、あんなことがあった後だから皆さん食べられるかどうか……。私はペコペコでしたけど……」
「あ、あんなこと?」

館で起きたことを知らない2人はきょとんとした。
「聞きたい?」コナン君が言うと、和葉ちゃんが「聞きたない!」と耳を塞ぐ。
平次君がニッと笑った。

「まあ、大丈夫や……。今日ここで起きた怪奇現象の半分は解けたさかい……」
「みんながそれ聞いたら少しは食欲も湧いてくるんじゃない?」

そして外でポツポツと雨が降り始める中、2人は寅倉家の人達と執事の古賀さんを連れ、旦那様の部屋に入った。

「最初は棺桶の下のタイルに何も細工があらへんかったから謎やったけど……そもそも位置が違てたんや」

見ると絨毯の真ん中に切れ目が入っていて、引っ張るとその幅だけ抜けるようになっている。
だからその抜けた幅だけ絨毯を引っ張れば、隠し通路の入り口がお目見えするというわけだ。

「タイルは引き戸になってて、1階の物置に細い階段で繋がってたよ!」

コナン君が言った。「で、でも物置に階段なんてないわよ!?」実那さんがそう言うが、恐らく気づかなかっただけ。棚ごと動く隠し扉でカムフラージュでもしてあったのだろう。
半年より前に、館の人達を全て出払わせ、誰もいない隙にその隠し通路を作ったのだ。

「この館の門番は清水さんの事件の後に配置されたらしいし……うまいこと清水さんを森に呼び出せたら、棺桶で寝てるフリして物置通って外に行けるっちゅう寸法やな!」

つまり──清水さんを殺したのは旦那様。警察が調べに来た時はさっきの要領で絨毯の幅を広げ、通路の入り口を隠したのだろう。

「ちょ、ちょっと待て!通路は分かったけど……兄貴はどうやって棺桶から出たんだよ?」

岸治さんが慌てたように言った。

「そら簡単や!棺桶の裏にも引き戸が付いてるし……」

平次君は棺桶の底の引き戸を開けて見せた。

「それに棺桶の蓋……何も付いてないように見えるけど……実は合わせ目に強力な磁石が入ってて……1度閉じたらロックがかかるようになってるみたいだよ!このリモコンで解除するまでね!」

コナン君はリモコンを差し出した。物置の棚に置いてあったらしい。

「つまりや……そのリモコンと棺桶の隠し通路使たら……自由自在に棺桶ん中から姿をくらますことが出来るっちゅうこっちゃ!」

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