• テキストサイズ

白い雪【名探偵コナン】

第23章 服部平次と吸血鬼館


「あ、あなた!?あなた〜!!!」

瑠莉さんが煙草部屋に入って来ようとした。

「瑠莉さん、この部屋に入っちゃダメです!」

私は慌てて彼女を下に押し戻す。
麻信さんの遺体を警察が調べに来るまでは、ここには入れない。

「その子らの言う通りだ!俺達家族の中でタバコを吸うのは麻兄だけ!下手に部屋に入って、お前の髪の毛とか落ちてしまったら疑われるぞ!どーせ警察はさっき見た空飛ぶ怪物の話なんか信じてくれねーし……」

……なるほど。タバコを吸うのは麻信さんだけなのか……。

瑠莉さんがボロボロと涙を流して取り乱した。

「終わりだわ私……主人だけが頼りだったのに……。これから先どーやっていけば……」
「お前1人くらい俺が何とかしてやるよ……。知らねぇ仲じゃねぇしな……」

岸治さんが瑠莉さんに手を差し伸べる。
その後ろの方で羽川さんが恐怖していた。

「そうね……。もしかしたら守代姉さんはもう……吸血鬼と化した迫弥兄さんにどこかに連れ去られて……伝説のように串刺しにされているのかも……」

そういえば、羽川さんは守与さんが殺されていたら実那さんとよりを戻すという約束をしていたような──?

「あの……よかったら聞かせてもらえますか?その伝説ってやつ……」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「それは江戸時代の頃の話だと旦那様からお聞きしました……」

この辺りを治めていた寅倉家の先祖の殿様は、領民からとても慕われていた人物だった。
だが子供には恵まれず、家督を弟に委ねるのではと噂されていた頃、殿様は側室として美しい女性を招き入れたのだ。
その側室は後に世継ぎを生むが、ある嵐の夜に崖から転落し、木の枝で胴を貫かれて死亡してしまう。
側室が森に入った理由を不審に思った殿様は、側室の側近を南蛮から取り寄せた器具で拷問した所、真相が明るみになったのだ。

「若君が森に入って行方不明になったと嘘をついて、側室を森に行かせろ」

その企てを立てたのが実の弟と知ると、殿様は怒り狂って弟やその企てに加担した者たちを側近と同じように串刺しにし、その遺体を森の中に並べたのだという。

/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp