第23章 服部平次と吸血鬼館
不思議そうにしていると、コナン君が訊いてきた。
「ボク達みんなの所戻るけど、瀬里奈姉ちゃんどうする?」
私はうーんと唸る。
「このままこの部屋に1人でいるのも何か怖いし……一緒に行ってもいい?」
そう言うと、2人も頷いてくれた。
蘭ちゃん達に書き置きを残し、私は2人と一緒に行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「何ィ!?AB型やったやと!?」
平次君が大滝警部との電話でそう言った。
「旦那さんが寝とった棺桶に付いてた血ィがホンマにAB型やったっちゅうんか!?けどこの館の連中に聞いた旦那さんの血液型は確か……」
「A型でございます……」
にゅっと出て来たのは執事の古賀さん。
旦那様が若い頃に大怪我をした時、執事やメイドのA型の血を輸血した記憶があるらしい。
「なら誰の血なの……?」
疑問に思って呟くと、執事さんが言った。
「この館に関わる者でAB型は、半年前に亡くなったメイドの清水さんだけかと……」
「何やとォ?」
平次君が驚きのあまり声を上げる。
「何で半年前に死んだ人の血ィがあの棺桶ん中に付いてんのや?」
「ま、まさかお義兄様……その人の血を溜めてて……棺桶の中で啜ってたとか!?」
瑠莉さんが怯えたように言った。羽川さんが不信そうにいう。
「──ってかその血、もっとちゃんと調べたほうがいいんじゃないっスか?DNAとか……」
実那さんが呆れたように「そんな必要ないでしょ?血液型が違っているんだから……」と言った。
トンネルの復旧はまだかかるらしく、大滝警部曰く『朝までには通れるようにしたい』だそう。
『それまでに蘭と瀬里奈ちゃんに何かあったらただじゃおかねえからな!』
平次君の携帯から聞こえる小五郎さんの怒声。私は少し嬉しくなった。
旦那様はまだ見つからず、次男の麻信さんは旦那様の携帯に何度もかけているが、ずっと留守電らしい。
その麻信さんは煙草部屋で一服しているらしく、この場にはいない。
「迫弥兄さん……携帯をどこかに置きっ放しにしてるのかも……。私も30分おきにメール送ってるけど返事ないし……」
と、寅倉家の人達に一斉にメールが入った。
メールは旦那様からで、『今から私の答えを皆に伝えるから食堂に集まれ』と書いてあるらしい。
今まではホラーチックだったのに……仕上げはデジタル?何かおかしい……。