第23章 服部平次と吸血鬼館
「……えっ!?」
「「きっ、きゃあああ!」」
蘭ちゃんと和葉ちゃんが悲鳴を上げる。すぐに駆け付けてくれたのはコナン君と平次君。
「何や、どないしてん!?」
「平次君!迫弥さんが、この中で……」
流石の私もパニクってしまい、うまく説明ができない。
「ち、血塗れで……胸の所に杭が刺さってて……!」
それを聞いた平次君とコナン君が棺桶の蓋を開けようとするが、なかなか開かない。
私も加わり、3人でやっとの思いで蓋を開ける
と──
「えっ!?何で……」
「おっちゃんなんかおらんやないかい!」
本当にこの中にいたというのに……。何で?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「嘘ちゃうよ!」
和葉ちゃんがそう声を荒げる。
「胸の所に杭が刺さってて……黒いマントも着てて……尖った耳に牙も生えてて……」
「ま、まるで……まるで……」
「ど、ドラキュラ伯爵みたいだったんだから!」
私、和葉ちゃん、蘭ちゃんが口々に言う。
「君らが見た兄貴の姿がそうだったんなら……兄貴が化け物の格好で驚かそうとしてたんだよ!棺桶の中から消えたカラクリは分かんねーけど……」
岸治さんがそう言って私達(というか蘭ちゃんと和葉ちゃん)を宥めようとする。と、遅ればせながら羽川さんがやって来た。
「まぁ、魔法のようにパッと姿をくらますのは……。映画とかでよく見る……吸血鬼そのものっスけどねぇ……」
そんな羽川さんに岸治さんはイラついているようだったが、その怒りはすぐに収まり、寅倉家の人達に小五郎さんがあの『眠りの小五郎』だとカミングアウトされた。
「あのー……お食事冷めちゃいましたけど……温め直しますか?」
ひかるさんがそう尋ねる。平次君は冷静に大滝警部に「棺桶に付いている赤い何かを近くの警察で調べてもらいたい」と頼んでいた。
「もしも姉ちゃんらの見た通りやったらコレ、迫弥さんの血ィのはずやから……」
そして寅倉家の人達は集合写真を撮るために部屋に入った。
どうやら昔からの風習らしく、「みんなでワイワイやっていれば迫弥さんもひょっこり顔を出すかもしれない」という実那さんの考えからだ。