第22章 怪盗キッドと赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)
「まぁ、この前のベルツリー急行の時には助けてもらったし、今回は何も盗んでないし……見逃す?」
私はコナン君にそう確認した。コナン君も頷く。
「まぁ、“私達は”だけどね……」
苦笑いしてそう付け加える。と、その時──
ドゴ!
わーすごいキレッキレの蹴りだわ←
本物の世良さんが快斗に飛び蹴りを喰らわせた。
世良さんはタンクトップに下はパンツ1枚。
「世良さん……下着が丸見え。これ付けてなよ……」
私はいたたまれなくなって、羽織っていたカーディガンを世良さんの腰に巻きつける。
その間に快斗は服を置いて飛び去った。
「あー……また取り逃がした〜……」
私はくすくすと笑いながら快斗の去った方向を見た。
「でも、世良さんどこにいたの?」
私が訊くと、園子ちゃんが驚いたように言った。
「そうですよお姉様!信じられます!?」
「な、何が?」
「男子トイレですよ!男子トイレで捕まってたんです!」
「え!?男子トイレ?何でまた……」
私は帽子と伊達眼鏡をまた掛け直し、5人で裏口から出た。
その間に話を聞くと──
「え〜っ!?女子トイレが混んでたから男子トイレに入ったぁ〜?」
園子ちゃんが声をあげた。
どうやら世良さんはとにかくトイレを早く済ませたかったらしい。元々自分は女子には見えないし、大丈夫だろうと思ったらしい。
(そりゃ快斗も勘違いするわ……。ドンマイ)←
私は大きくため息をつき、快斗に電話をかけた。そろそろ家にいる頃だと思うから。
「……あ、もしもし快斗?ほっぺ大丈夫?」
『大丈夫じゃねーよ!』
耳を突き抜けるような大声に、私は思わず耳から携帯を離した。
「もう、そんな大声出さなくても聞こえるって……。ちゃんと冷やして寝なさいね?今日はさすがに手当て行けないから……」
『あー、夜遅いもんな……。1人で平気なのか?』
「ん?うん、平気……。あ、青子ちゃん達によろしく言っておいて?おじさまに言うの忘れてたから……」
じゃあね、と電話を切ると、4人がじっとこちらを見ていた。
「電話、誰から?」
コナン君が尋ねてくる。
「え?友達よ……。親と喧嘩してほっぺがヤバいらしいから、心配して電話したの……。どうかした?」
私が訊くと、4人はうーんと唸っていた。
「な、何?」