第22章 怪盗キッドと赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)
「水槽のカーペットで目隠しした時でしょ?相談役の足元にカードを撃ち込んだのもその時なんじゃない?」
私がそう言う。
カーペットにくるまれた人達はもみくちゃになっていたから、あの中にキッドがいて何をやったとしても怪しまれないし。
「その証拠に、蘭姉ちゃんの携帯電話が開けた途端に真っ暗になったでしょ?2つ折りの携帯電話は磁石で開閉を検知してるのもあるから……あの時、蘭姉ちゃんのそばに強い磁石を持った人がいたんだと思うよ!だから蘭姉ちゃんの携帯が磁力を受けて閉じられたと勘違いして、液晶画面が消えたんじゃない?」
コナン君はそう言った。
「でもあの時、蘭ちゃんのそばにいたのは……」
世良さんがそう言う。
「私と……コナン君と……園子ちゃんと……あんたでしょ、怪盗キッド?」
そう追い詰めると、キッド──快斗は自白した。
「降参だよ、瀬里奈……。2人共どこでオレの正体に気づいたんだ?」
「ん?私は蘭ちゃんの呼び方ね……」
「呼び方?」
「そ!世良さんは蘭ちゃんのことをちゃん付けで呼ばないから……」
私がそう言うと、快斗は「くっそー!」と頭をガシガシと掻いた。
「ま、後はさっき言った磁石かな?ね、コナン君」
コナン君にそう訊くと、彼も頷いた。
「ああ……。蘭が携帯を開いた時、一番そばにいたのはオメーだったからな……」
あの時、快斗は左手に磁石を持っていたのだろう。
それに、快斗が鈴木相談役の頬を抓ったり、ボディチェックを組になってやろうとか言い出さなきゃこのトリックは成立しない。
「もっとも、そのボディチェックのお陰でオメーがキッドだと確信したんだけどな……」
「ん?体型は大して変わんねーんじゃ……」
不思議そうにする快斗に、コナン君はこう言った。
「ボディチェックを一緒にやろうと蘭達に誘われて驚いてたのも、自分が蘭達より年上だと思ったのも……世良が1学年上の男だと思ったからだろ?同級生の男なら呼び捨てか君付け……。『世良さん』とは呼ばねぇからな……」
快斗がぎょっとして、自分を指差した。
「ま、まさかこいつ……女の子だったのかよ!?」
私は堪え切れなくてくすくすと笑った。
「気づかなかったの?」
「分かるかよ!」