第22章 怪盗キッドと赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)
「鈴木相談役、あなたです!」
本当に宝石亀がいなくなったかを確かめるために水槽の金網を開けさせ、脚立に乗って水槽の中を覗いた相談役になら、ガラスに貼り付いた宝石亀を剥がして上着の内ポケットに入れて隠すくらいは出来るはず。
相談役の体に遮られ、後ろの人達には見えないし。
おじ様が鈴木相談役のポケットを探ると──
「イタタ……」
中森のおじ様の指に噛み付く亀が出て来た。
「鈴木相談役が亀を隠したそのわけは、相談役の足元に刺さってたキッドのカード……。多分カードにはこう書いてあったんです……。
『磁石にくっつく合成ダイヤまみれの亀が、本物のブラッシュマーメイドを背負っているとは思えないし……亀の名前はギリシャ神話の海神ポセイドン……。でも飼い主がイタリアの女優なら、ローマ神話の海神ネプチューンと名付けるはず……。そんな胡散臭い宝石亀を高額で買わされたことを知られたくなければ、こっそり回収するのが賢明ですよ』ってね……」
だいたい私の言った通りで合っていたらしい。
「で?キッドはどこなんだ?」
小五郎さんに言われ、私は「さぁ?」としらばっくれた。
「仕掛けは全部遠隔操作できるものばかりだし……操作は入り口に押し寄せた客に紛れてやったでしょうから……もうここにはいないんじゃないですか?」
そう言って事件は無事解決。
5人で廊下を歩いていると、蘭ちゃんと園子ちゃんがトイレに向かった。
「でもさー、瀬里奈さん?」
「んー?なぁに世良さん」
「さっきの推理、不十分だと思わないか?」
「え?何で?」
「あの仕掛けで亀の体はプレートの裏に隠せたとしても……宝石についてた長いネックレスが垂れ下がって……プレートからはみ出しちゃうと思うけど……」
そして、なぜかその問いにはコナン君が答えた。
というか、私が答えなかったからコナン君にバトンタッチしたのだが。
「多分、キッド自身も強力な磁石を持ってたんだよ!それでプレートからはみ出てるネックレスの留め金をガラス越しに磁石に吸い付けて……くるっと上に回してから離してプレートの磁石にくっつけて隠したんじゃないかなぁ?」
「で、でもいつそんなことを?」