第22章 怪盗キッドと赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)
「え?いいのか?ボディチェック、ボクも君達の組に入っても……」
世良さんは驚いたようにそう言った。
ボディチェックの組は私と蘭ちゃんと園子ちゃん、世良さんとコナン君。
「じゃあ誰から始めよっか?」
蘭ちゃんに言われ、世良さんが提案した。
「だったら年の順で瀬里奈さんからじゃないか?その次はボクで……」
「え?私から?てゆか何で私の次世良さん?」
なぜか年の順でやることになり、私からボディチェックは始まった。
両手を頭の後ろに組み、3人にボディチェックをしてもらう。
「それにしてもお姉様スタイルいい〜……」
「ちょ、何かくすぐったいんだけど!?」
「動かないでくださいよ、分かんないじゃないですか……」
そして次は世良さん。
ボディチェックをしている間、私は考えていた。
快斗が誰に変装しているのか、それに亀ごと宝石を盗み出したその手口も。
水槽内のカラクリは至極単純。
カードを丸めて水溶性の紐で縛り、その紐に結びつけた釣り糸をカードの中に通し、その先に小石をつける。そして照明に吊るしてリモコンで落ちるように仕掛けておけば……落ちたカードは金網をすり抜け、水中で紐が溶けてカードが開き、メッセージがお目見えするという算段。
ん?そういえばあの時、あの人──
「中森警部……もう諦めて撤収した方がいいんじゃないか?」
鈴木相談役はいともあっさり宝石を諦め、撤収するようにおじ様に持ち掛けている。
女子のボディチェックも終わり──ん?終わり?
「蘭ちゃんのチェックがまだ途中……」
世良さんがそう言うが、園子ちゃんは「蘭は見れば本物かどうか分かるから……」と甚だ怪しい保証を残す。
「……」
私は周りの様子を見ながらじっと黙っていた。
謎解きは探偵さんの仕事だけど……快斗は今日は無事に帰れないんだろうなぁ……。
もう快斗の変装相手を見抜いている私は軽くため息をついた。
近くで蘭ちゃんと園子ちゃんがコソコソと会話をしているのを耳にする。
何でも、蘭ちゃんは園子ちゃんに時間を聞かれたあの時、携帯で時間をチェックしようとしたら、携帯を開けた途端に画面が真っ暗になってしまい、電波が悪かったのかと思い私達から少し離れたというのだ。