第21章 密室にいるコナン、謎解きするバーボン
あ、これヤバイかも。私は慌ててサンバイザーを付けた(もう遅いが)。
と、私と安室さんはほぼ同時に表情を変えた。
「コナン君!?」
「危ない!! 」
だが間に合わず、コナン君の頭にラケットが命中した。
「こ、コナン君!?」
蘭ちゃんがコナン君に触れようとする。それを私が止めた。
「待って蘭ちゃん!」
「え?お、お姉さん……」
「もしかしたら脳震盪を起こしてるかもしれないから……なるべく振動を与えないように移動させましょう!」
「は、はい!」
「安室さん、コナン君を運べます?」
「任せて下さい。えっと、どこに運べば……」
安室さんがきょろきょろと辺りを見回すと、男女4人組がこちらへ駆けてきた。
「す、すみません!多分、私のラケットが当たったのかも……」
「ラケットって……これですか?」
私は茶髪の女性にラケットを手渡した。女性は「そうそうコレ!」と声を上げる。
「じゃあ、ラケットはこの子に……?」
「ええ、当たったみたいで……。今から医者に行こうと思ってたんですけど……」
「じゃ、じゃあウチの別荘に呼びましょう!」
4人組がいる別荘に医者を呼ぶということで話がつき、コナン君は駆け付けてくれたドクターに『脳震盪』と診断された。
「でも念の為に、手足が痺れたり吐き気や目眩がしたら、大きな病院でちゃんと検査をしてもらうように!」
そう言われ、私と蘭ちゃんはぺこりと頭を下げた。
ここはコナン君にラケットをぶつけてしまった桃園琴音さんの別荘。
「ごめんねボウヤ……汗で手が滑っちゃって……」
「だから言ったのよ!グリップテープをちゃんと巻いておきなさいって!あんた汗っかきだから……」
琴音さんにそう苦言を呈すのは梅島真知さん。
2人の後ろから姿を現した太った眼鏡の男性は石栗三朗さん。
「けど残念だなぁ……。俺の携帯の電池が切れてなかったら、その衝撃映像をムービーで撮ってネットにアップしてたのに……。
『少年を襲う殺人サーブならぬ……殺人ラケット』ってな!」
私はその言葉に、頭のどこかの血管がぶつりと切れそうになった。