第21章 密室にいるコナン、謎解きするバーボン
「テニスのコーチ?」
ポアロにて。
園子ちゃんと小五郎さんがそう話していた。それに私も同伴している。
「そう!実は真さんにテニスデートのお誘いが来て……。でも私はテニス部員だし、素人に簡単にひねられるわけには行かないでしょ?そこで、スペシャルコーチに頼もうかと……」
「で、でもスペシャルコーチって誰に頼むの?」
私は思わず口を挟んだ。安室さんがテニスのジュニア大会で優勝したのは知っているけど、一応体調不良で休んでいる人を駆り出すのは気が引ける。
「もちろん、安室さんですよ!それにお姉様!」
…………はい?
「……ちょっと待って、何で私も入ってるの?」
「当たり前じゃないですか! “帝丹高校の勝利の女神” と称されているお姉様にお教え頂けたら光栄すぎてもう……!」
「何それ!? “帝丹高校の勝利の女神” とか私初めて聞いたよ!?」
それは本当。私は初めて聞いた。マジで。しかも何かすごい長いし。
「それに安室さんはジュニア大会で優勝してるって聞きましたし!まさにうってつけじゃないですか!」
「う、うん……まあね?それは確かになんだけど……」
「てことで!瀬里奈お姉様、安室さんに了承取っといてくださいね!」
「え!?私!?」
……半ば園子ちゃんに強引に押され、私は安室さんと伊豆高原のテニスコートに行くことになってしまった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
パゴッ!
そんなこんなでテニスコート。
私と安室さんで1対1のゲームをしている。
安室さんのサーブはとにかく強い。そして速い。
速さが出る分、重みも違う。高校で女子テニスをやっていたくらいの私では互角に戦うので精一杯だ。
それでも恐らく彼は手加減している。
ラリーはしばらく続いたが、やがて私がスタミナ切れで追い付けなくなり、安室さんの勝利で終わった。
「あーもう……速い!」
私の文句もどこ吹く風、安室さんはニコニコと笑いながら言った。
「中学の時以来ですからお恥ずかしい!」
ジュニアの大会で優勝したとはいえ、その直後に肩を痛めてテニスを辞めたはずなのにこの余裕(まぁ教えるくらいなら支障はないそうだが)。
コートの外で見ていた蘭ちゃん達が拍手を送ってくれる。
ギャラリーが騒いでいる声を聞いていると、「歌手の瀬里奈とプロテニスプレイヤー!?」「え、熱愛!?」などという声。