第21章 密室にいるコナン、謎解きするバーボン
──第三者side
「いやぁ……悪いねぇ!ベルツリー急行で散々な目に合わせてしまった埋め合わせに……伊豆高原の別荘に招待してくれるとは!」
レンタカーを走らせる小五郎はニッコニコだ。まあこのオヤジの目的はピチピチテニスギャルなのだが。
「でも別に埋め合わせなんていいのに……」
「……っていうのはついでで……実はテニスの特訓をしに行くのよ!」
蘭が申し訳なさそうに眉を八の字にすると、園子はうふっとウインクをした。
「特訓って大会近かったっけ?」
「大会よりもビッグなイベントが舞い込んで来ちゃったんだから!
とにかくこれ観てみてよ!」
園子に見せられたのはビデオメール。
京極からのテニスデートのお誘いが来たというのだ。
だが園子はテニス部員。対して京極は素人だ。
テニス部員のプライドとして、素人に簡単にひねられるわけにはいかないということで、『スペシャルコーチ』に指導を頼んだのだとか。
そのスペシャルコーチの正体は、テニスコートに着いた瞬間に分かった。
パゴッ!ザヒュ!
物凄い速さと強さで打ち合うのは先日バーボンだと判明した安室透、そして工藤瀬里奈である。
瀬里奈に至っては顔を隠せるサンバイザーもサングラスもかけていないため、「歌手の瀬里奈だ!」と周りのギャラリーが騒いでいる。
(何で私、伊豆高原まで来てテニスやってんだろ……?)
瀬里奈は大きくため息をついた。
そう、事の発端は数日前のことだった──