第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン
「となると、ABCDEとある部屋の丁度真ん中のC室の乗客である……
安東さん……あなたにしか出来ないんですよ!」
──第三者side
「おっかしいなぁ……。哀ちゃんもコナン君もお姉さんもお父さんも世良さんまで……電話が繋がらないよ……。どうしたんだろ?」
蘭の言葉に、博士が携帯を見ながら険しい顔をした。
「やっぱり私、1等車に行って来る!」
「あ、こ、これ!今、推理ショーの真っ最中だそうじゃから……邪魔せん方がいいと思うがのォ……」
そんな部屋の中の会話を盗聴している人物が1
人──
──瀬里奈side
「か、鏡って……扉を覆えるような大きな鏡をどうやって私がこの列車内に持ち込んだっていうんですか!?」
安東さんがそう反論する。
「あなたが鑑定を依頼されたというあの絵……。あの絵のキャンバスとキャンバスの間に鏡を3枚ほど仕込んでいれば……丁度ここの扉を覆えそうですが……。あの絵……かなり重かったですし……」
「あ、あれは額が純金で……」
安東さんが慌ててそう言うが、私と安室さんは絵を分解していった。
「いえ、額は木製で金メッキなだけ……重いのは絵の方です……」
そして安室さんが表側のキャンバスを外した。
「中身は先生の言う通り……3枚の鏡!
その1枚に扉と同じベージュの絵の具が塗ってあるところを見ると……鏡だと気づかせないように工夫したようですね……。そのままだとE室の表示が鏡に映り込んでしまいますから……」
そしてコナン君が安東さんを追い詰めた。
「さあ、その3枚の鏡……どう説明されますか?まさか鑑定前から仕込まれていた物で、絵の異様な重さに気づかなかったなんて言わないでくださいよ?何ならその絵の鑑定を依頼して来たクライアントに聞いてもいい……。そんな人が本当にいればの話ですがね?」
──第三者side
ある部屋。
火傷の男が窓を開け、トランクを外に放り捨てた。
「あら、随分じゃない?」
後ろから女の声が聞こえる。あの女優帽を被った女だ。
「お気に入りだったのよ?あのトランクに入れてたワンピ……」
男は顔に手をかける。女はまた声をかけた。
「ねぇ……もうこんなこと止めたら?シャロン?」
男がマスクを剥がす。
マスクの下は──ベルモットだった。