第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン
「園子姉ちゃん達ももらったんでしょ?これに似たカード!」
そう言いつつコナン君は私達が見たカードと似たような物を見せた。
「この部屋にいた被害者役の人と一時的に部屋を入れ替わって……訪ねてくる探偵達を騙して迷わせろって……。違う?」
園子ちゃん以外のネタを知っていた人物はわっと盛り上がった。
「すっごーい!さすがコナン君……」
「正解だよ!」
誰かにノックされて扉を開けたら封筒が落ちており、カードには「おめでとう!あなたは共犯者に選ばれました」と書かれていた。それで、そのカードの言う通りに行動したというわけだ。
「で、その被害者役の客と蘭君達が入れ替わる所でボク達が通りかかって……」
「指示されたカードを見せてもらって、事情を把握したってわけ!」
ちなみに小五郎さんは推理クイズの解説を頼まれ、食堂車で待機している。
「それより初めましてだよな?」
「え?」
世良さんが子供達を覗き込んだ。
「君だろ?灰原って子!君とは1度お話ししたかったんだよね……」
哀ちゃんの目が恐怖に見開かれる。
と、私はバッと顔を上げ、世良さんはいきなり声を上げた。
「誰だ!?」「誰!?」
私達は同時に声を上げた。世良さんがドアを開ける。
「な、何?」
「今、扉越しに誰かが覗いてた……って思ったけど……気のせいか……」
世良さんは廊下をきょろきょろと見回し、ドアをパタンと閉めた。
そして車掌さんに死体消失のトリックが解けた、と言いに行こうということになり、全員でその車両の一番後ろにいる車掌さんに伝えに行った。
「死体消失トリックが解けた?」
車掌さんが言うには、今回の推理クイズはまだ出題されていないらしい。
だけどコナン君達も園子ちゃん達も指示カードをもらっている。
車掌さんにカードを見せると、『いつもの指示カードと同じような物だが、今回のトリックはそんな物じゃないはずだ』と車掌さんは怪訝そうに言った。
「こーなったら8号車に行って、被害者役の客に訊いてみるしかなさそうだな!」
「そだね……。あの人、詳しい話聞いてそうだし……」
その前にトイレ、と元太君と光彦君がその場を後にする。
哀ちゃんは私の服の裾を掴みながらきょろ、と辺りを見回した。
「……どうしたの哀ちゃん?」
「この列車……妙な気配しない?殺気立ってるっていうか……」
「ええ?」