第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン
「なるほどね……」
「協力してくれます?」
「いいよ、私こういうの好きだし♪」
私はそう言って軽くウインクをした。
世良さんも事情を把握した所で、コナン君がノックもなしにドアを開けた。
「あら、コナン君……」
蘭ちゃんがお茶を淹れながら言う。
コナン君の後ろから元太君が顔を出す。
「ここって7号車だよね?」
「はぁ?」
園子ちゃんが機嫌悪そうに言う。
「ここは8号車!」世良さんがそう言った。
「たった今、私と世良さんが遊びに来た所よ。それがどうかしたの?」
ニッコリ笑ってそう言うと、子供達は納得していないような顔のまま部屋を後にした。
パタン、とドアが閉まると私はクスクスと笑いをこらえる。
「もー、笑いこらえるのに必死……っ」
「お姉さん笑わないで……私達も釣られるからっ……」
私は笑いの臨界点を超えたかのように喉でくつくつと笑った。
「お母さん譲りの演技力駆使しなきゃ、だね」
「瀬里奈さんって歌手なんだろ?演技力関係なくないか?」
世良さんに言われる。
私はニコッと笑って言った。
「お母さん譲りって言ったでしょ?日常でも演技力は使うわよ……」
──例えば、赤井さんの生存を組織に(というか安室さんに)ひた隠しにする時とか……快斗の正体を新一や子供達に内緒にする時とか……そんな時に、ね。
と、また部屋のドアが開いた。開けたのはまたコナン君だ。
どうやらどうしてもここが7号車だと思っているらしい。
「気づくかなぁ?」
私は世良さんに問いかけた。世良さんは自信満々に答える。
「まぁコナン君がいるからな!大丈夫だと思うよ……」
「相当コナン君を信頼してるのね?」
クスッと笑う。と、またドアが開いた。
「ちょっとあんたねぇ……」
園子ちゃんが不機嫌丸出しで言う。
「この部屋ってさー……」
コナン君がニヤリと笑って言った。
「本当の本当は7号車のB室……だよね?」