第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン
──第三者side
「わぁ〜!! すっごーい♡」
子供達が声を上げる。
ここはベルツリー急行が停まっているホーム。
少年探偵団と博士、コナンに灰原に蘭、彼らを招待した園子、そして──
「せ、世良さん?」
なぜか世良もいた。
そしてなぜか──
「フフ、みんな揃って賑やかね」
「お姉さん!?」
なぜか瀬里奈もいた。
「何でここに?」
「ん?仕事を無理言ってオフにしてもらったのよ。今日は知り合いに頼んでここのパスを取ってもらったってわけ……」
「知り合い?」
コナンがきょとんとして訊く。瀬里奈はコナンに目線を合わせて言った。
「ええ。この列車の常連さんでね……。それに、キッドが来月宝石を盗みに来るんでしょ?どういう構造になってるのかなーって気になってね……」
瀬里奈はそう言ってニコッと笑った。
「あ、いたいた……。じゃあ、私は知り合いの所に行ってるから……」
「あ、部屋どこですかー?」
園子が尋ねた。瀬里奈は走りながら「1等車ー!」とだけ答えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──瀬里奈side
私は子供達や蘭ちゃん達に挨拶をした後、8号車のD室乗客の小蓑夏江奥様とメイドの住友昼花さんの所へ行った。
「お久し振りです、奥様!住友さん!」
私はニッコリ笑ってそう言う。
2人はきょとんとしていたけれど、すぐに住友さんがニコッと笑った。
「お久し振りですね?」
「ええ……。とりあえず車内に入りません?ここじゃ落ち着いて話せないし……」
そう言いながら列車に入ろうとすると、車掌さんが常連さんらしい眼鏡のおじさんに声をかけた。
「これはこれは安東様……。お荷物お持ちしましょうか?」
「お構いなく……結構重いですから……。まぁ重いのは純金の額縁だけで、絵の方は贋作でしたけどね……」
眼鏡のおじさん──安東諭さんは8号車のC室乗客。
絵の鑑定が済んだので名古屋にいるクライアントに返しに行くんだそう。
「おや?これは行き先不明のミステリートレイン……。どうして名古屋に行くと?」
「おいおい……」
口調の違う声が聞こえた。見ると、強面の男の人と目付きの鋭い女の人が立っている。