第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
──瀬里奈side
「何ィ!?小僧を乗せた車が王石街道を北上してるだと!?」
小五郎さんの携帯に連絡が入った。王石街道って……今走っているこの道だ。
「んで?車は青いスイフトでナンバーは……」
それを聞き、私は対向車線を走る車に目を付けた。青いスイフト……王石街道を北上……
「安室さん!あれ!」
「分かってますよ……」
安室さんは至って冷静にUターンをしてスイフトを追った。
後ろをついて来ていたバイクもこちらに方向転換する。
おもむろに安室さんが口を開いた。
「毛利先生……そのまま右のシートベルトを締めてください……。蘭さんはシートベルトを外し、先生の膝の上に乗っていてください……。瀬里奈さんもシートベルトを外し、こちらに……」
私は安室さんのやろうとしていることが分かった。照れている蘭ちゃんに向かって叫ぶ。
「蘭ちゃん!死にたくなかったら安室さんの言う通りにして!」
そう叫び、私もシートベルトを外す。
途端に安室さんの方へ引き寄せられた。
「う、わ」
私も自動的に安室さんの膝の上に乗せられる。そして彼はサイドブレーキをかけ──
ドゴ!
車の左側をスイフトにぶつけ、無理やり車を停めた。
車から降りて来たのはやはり強盗犯の女。コナン君を人質に取っている。
「何なのよあんたら!?」
と、スイフトの屋根に乗ったのは──
「吹っ飛べェ!!」
バイクの前輪で強盗犯の女を殴り飛ばした世良さんだった。
私は慌てて車から降りる。
「コナン君!」
世良さんが抱きついている方とは逆からコナン君に抱きつく。
「怪我ない?」
「あ、あれ瀬里奈姉ちゃん、記憶……」
「もうとっくよ。心配かけてごめんね?」
フフ、と笑うと笑うと、コナン君も笑い返してくれた。
と、私の携帯がいきなりブルった。
「もしもし?……はい、私が工藤瀬里奈ですけど……え?桂羅兄が……?」
私はその電話を受け、コナン君達に断りを入れてからその場を後にした。
桂羅兄、桂羅兄、桂羅兄……!
私は急いで警察病院に向かう。
彼の病室で目にしたものとは──