第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
そしてコナンは、まず豊北倫子のアパートに向かった。
チャイムを鳴らし、豊北倫子が出て来る。
「何なの!?うっさいわね!!」
「ボク今日このアパートに引っ越して来たんだけど……」
そして後ろに控えていた浦川に「ねぇ、母さん!」と声をかける。子供ながらに見事な演技だ。
豊北倫子はコンビニのシフトが0時かららしく、普段この時間は寝ているらしい。
彼女は一旦ドアを閉めてからチェーンロックを外す。と同時にコナンが部屋に駆け込んだ。
「わぁーっ、いい匂い〜♡」
コナンは部屋に飛び込み、分かるだけの情報を詰め込んだ。そしてまた車に乗り込み、次は降屋栄絵の家。
ピンポンピンポンとチャイムを鳴らすが、反応がない。
留守なのかと思った矢先に、本人が帰って来た。
彼女は宝クジが当たったらしく、今日はブランド物を買い漁って来たようだ。
明日にはここを出て行くから、という理由でコナン達にゴミ捨てを頼んでドアを閉められた。
(コンビニ弁当の食べカスばっかだな……)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──瀬里奈side
「あ!ウソ……コナンくんからメール来てた……」
蘭ちゃんが携帯を見てそう言った。コナン君からは「大丈夫だから心配しないで」というメールが来たらしい。
「じゃあ、コナン君が自分からあの人についてったってことですね……」
「あのガキ……また探偵気取りかよ……」
私がそう言うと、小五郎さんが吐き捨てた。安室さんが後ろをちらりと見ながら言う。
「まぁ、子供の好奇心は……探偵の探究心と……相通ずるものですから……」
私も後ろの二人に気づかれないようにちらりと後ろを見る。姿までは分からなかったけど、バイクが私達に貼り付いているのが見えた。
『安室さん……あれ、尾行ですかね?』
『さぁ……どちらにしろ、撒く必要はなさそうですね』
『そうですけど……』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──第三者side
最後に手川隆代の家。
彼女はライターらしく、締め切り間際で大変なのだそう。そして、二件目に訪れた降屋栄絵と同様に──
「あ、そうだ。悪いけど……頼まれてくれる?」
「え、もしかして……ご、ゴミ捨て?」
コナンは嫌な顔をしながら言う。結局牛丼の食べカスだらけのゴミを捨てに行った。
「それで?3人に会ったけど……。誰が強盗犯が分かったの?」
「うん、もちろん!」