第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
彼女は賢也さんの呟いた『圭』という言葉を頼りに、「圭」という名を持つ彼の友人を片っ端から訪ねて回った。
だが樫塚圭は留守で、同居していたらしい小柄な男に招き入れられる。だがそこで彼らが犯行に利用していた拳銃を見つけてしまい、その男に口封じされそうになったが逆にその拳銃で彼を撲殺してしまった。
彼女はそのまま樫塚圭の帰りを待とうとしたが、リビングの宴会の用意を見て彼の友人が大勢来るのを恐れた。そして、小柄な男の死体をスーツケースに隠し、盗聴器を仕掛けた。そうすればいずれ臭いで死体が発見され、もう1人の仲間を呼び出すと踏んだのだ。
だが予想は外れ、樫塚圭がもう一人の仲間と一緒に金を持って逃げようとしていることを別に仕掛けた盗聴器で知ってしまう。
だが、その金を入れたロッカーの鍵はあるものの、場所は小柄な男しか知らなかったためにどこのロッカーの鍵かは分からない。
そこで、樫塚圭は毛利探偵にロッカーの場所を探してもらうことにしたのだ。もちろん、ロッカーの中身は秘密にして……。
それを盗聴器で聞いていた彼女は焦った。
もし、樫塚圭が強盗犯だと分かってしまえば、自分は復讐の機会を失ってしまう。
そこで、樫塚圭を探偵事務所で待ち伏せ、もう一人の仲間のことを聞こうとした
「……とまぁ、多分そんな感じなんじゃないかな?」
私はそう話した。
安室さんが満足そうな笑みを浮かべている。
「お姉さん……新一ばりの名探偵っぷり!」
「やめてよ蘭ちゃん、私探偵じゃないし……。事件にはなるべく関わりたくないタイプだし……」
「その割には、イキイキと話してましたね?」
「安室さん黙ってもらえます?」
私は助手席からジロリと安室さんを睨んだ。
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──第三者side
その頃、コナンも瀬里奈と同じことを彼女に話していた。
女の名前は浦川芹奈。瀬里奈の話していた通り、殺された庄野賢也の恋人で、3人目の強盗犯の女を捜していたらしい。
だが3人共電源を切っている上、樫塚圭の携帯の履歴には何も残っていない。よって、電話帳に入っていた3人の女の所をしらみ潰しに訪ねなければならなくなった。
「まずはここから1番近い豊北倫子さんのアパートから……」