第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
──瀬里奈side
「おいおいおい!こいつはこの前の銀行強盗の計画書じゃねーか!」
PCをいじっている小五郎さんが声を上げた。
大胆にも3人揃って拳銃を持っている写真まで載せている。そしてそれに写っている真ん中の男の人は──
「この人……探偵事務所で自殺した人だわ!右端の人は、スーツケースに入ってた人じゃない?」
「じゃあ左端の女性がもう1人の強盗犯でしょうか……」
安室さんがそう言った。
「その女の人とメールで連絡し合ってたみたい……」
蘭ちゃんがモニターを覗き込みながら言った。
さらにスクロールすると、女からの引越しメールが入っていた。住所もバッチリ載っている。
そして私達4人はその住所に向かうことにした。
そして安室さんの車内。
「……で、教えてもらえますか?探偵事務所で起きた、本当のことを……」
安室さんがそう切り出した。私はこくりと頷いて話し始める。
「ええ……事務所の人間として振る舞っていたのは、圭さん──彼女の方で、依頼人の方があの男だったんです……」
そして私は話した。
彼女が男の方──多分、男が樫塚圭だと思う──を事務所でもてなしている時に私が来てしまい、樫塚圭に事務所の人間でないとバレそうになった。そこで彼女は樫塚圭と私をスタンガンで気絶させた。
そして、私が目覚めた後──
「スタンガンで気絶させた男は拳銃を握らされ、銃口を口に咥えされられたままトイレの便座に座らされていました……。そして、ほどいたブーツの紐をブーツに繋げたまま、拳銃を握らせた男の手の甲側から拳銃の引き金に通して便座の内側から外へ出して垂らし……発射残渣が自分の体につかないように頭をタオルでカバーして、便座から垂らした紐をタオルで覆っていました」
私が一息にそこまで話すと、小五郎さんが「待った」をかけた。
「じゃあタオルの先が濡れてたのは何でだ?」
「それは……」
「多分、グリップの滑り止めでしょうね……」
私が口ごもった時、安室さんが代わりに答えてくれた。
「タオルの先を濡らして拳銃の下に敷いていたんでしょう……。そうすればグリップが滑らずに済みますから……」