第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
「くそっ!!」
小五郎さんがパソコンを前にして叫んだ。
パソコンにロックがかかっており、開けることができないのだ。
「んじゃ、樫塚圭のゴロ合わせで……」
小五郎さんがそう言うのをよそに、安室さんは机の下を覗いていた。
「……?」
不思議に思い、私も机の下を覗いて見る。
「……あ」私は思わず安室さんを見てしまう。安室さんは「シィー……」と人差し指を立てて黙っているようにジェスチャーした。
「お2人はパスワードとかどうされてます?」
彼はいきなり小五郎さんと蘭ちゃんの2人にそう声をかけた。
「とても覚えきれない長いパスワードの場合、ですよ?」
私は苦笑いしつつそう付け加える。
「うーん、携帯のメモ帳とか……」
「俺なら紙に書いて、誰も見ねぇようなこういう場所に……」
そう言いながら小五郎さんは机の下に手を入れた。すると──
「ん?──あった!パスワードゲットだぜ!」
小五郎さんが某モンスターアニメの主人公みたいに言う。(サ○シ君の『ポ○モンゲットだぜ!』的な)←
蘭ちゃんが「すごいお父さん!」と褒め称え、安室さんも「さすがですね!」と喜んでいた。
「……」
その様子を見て、私は苦笑いする。
コナン君もこんな感じなのかな……と。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──第三者side
瀬里奈がそんな風に思っていることなど露知らず、樫塚圭は赤信号で停まっているのをいいことに、犯人の女に電話をしていた。だが3人共出ない。
樫塚圭がイライラしていると、「ボクが見つけてあげよっか?」と後ろから声がした。
「お姉さんが探してる女の人!」
樫塚圭は驚いた。薬で眠らせたはずの子供が、なぜ起きているのか。
「ボ、ボウヤどうして!?」
「ああ……お姉さんに買ってもらった睡眠薬入りのジュースなら飲んでないよ!」
そしてコナンは座席の下を見た。
「座席の下に半分こぼしちゃった……。だってキャップ開けた時パキッて音しなかったもん!あれってお姉さんが一度開けて何かを入れたってことだよね?
とにかくさ──、目当ての人を探したいんならその人達に会いに行ってみようよ!今、お姉さんが電話してた3人、ネット上の圭さんの住所録に登録してあったから……住んでるトコ分かるよ!」
そしてコナンは笑顔で爆弾を放った。
「その女の人を殺したいんでしょ?浦川芹奈さん?」