第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
そして私たちはリビングに戻り、TVの録画画面を出した。
「ホ、ホントだ……。この前の銀行強盗事件のニュースやワイドショーばっかり立て続けに録画してる……」
「しかもその事件のコーナーだけ切り取って編集してやがるな……」
蘭ちゃんと小五郎さんが驚いたように言う。
強盗犯は小柄な人と痩せた人とがっしりした人の3人組だった。そのがっしりした人が拳銃を撃った所も防犯カメラに映っていたらしい。
《なお、この時犯人を宥めようとして射殺された銀行員……庄野賢也さんの通夜は昨晩行われ、庄野さんの勇気ある行動に心を打たれた弔問客の列が深夜まで絶えませんでした……》
そして庄野さんの写真が映る。
その庄野さんは──
「こ、この男の人……圭さんの待ち受けに映ってた圭さんのお兄さん!でも何で名字が違うの?」
まぁ、住んでいた人が誰にしろ、こんなニュースやワイドショーばかりを録り溜めていたということは、よほどの犯罪マニアか、犯人に復讐を目論む被害者遺族か──
「強盗犯本人と考えた方が自然ですよね?」
言葉は自然と漏れた。そしてそれは安室さんとハモっていたらしい。
「じゃあ、後は寝室のPCを調べましょうか……。そこしか調べる所残ってないし」
そう言って私達は寝室に戻った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──第三者side
ガソリンスタンド。
「レギュラー満タンね……」
樫塚圭は運転席から降りて、店員にそう頼んだ。
そして後部座席に寝かせたコナンを見て、上着をパサリとかけた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あ……また動き出した……」
沖矢の車の中。
追跡眼鏡をかけた灰原がそう言った。
「今度は王石街道を南下して、鳥矢町方面に向かってるわ……」
「まだまだ追いつけそうにありませんね……」
車を運転しながら沖矢が言った。
「しかし犯人は一体どこに向かっておるんじゃろう?うろうろ迷っているようにも思えるが……」
博士が沖矢にそう尋ねた。
「案外、本当に迷っているのかも知れませんよ?自分の望む……血に塗れた着地点が見つからなくて……」