第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
「何だと?」
小五郎さんが驚いたようにこちらを見た。
「でも、今はそれよりも圭さん達ですよね?さっきから姿見えないし……」
私がそう言うと、蘭ちゃんがホッとしたような顔をする。
「何?」
「いえ……何か、いつものお姉さんに戻ったなぁって」
「そう?──で、圭さん達はどこに行ったんでしょうね?」
私は安室さんの方を見て訊いた。安室さんは困ったように笑う。
「それは僕に訊かれても困りますよ……。でも、玄関にあるはずの彼女の靴もコナンという少年の靴もありませんでした……」
「じゃあ、コナン君は圭さんの後を追って行ったか……圭さんに連れ去られたかのどちらかですね……」
私と安室さんはそう話す。
蘭ちゃんはコナン君に電話し、小五郎さんは圭さんにメールを入れた。
と、小五郎さんの携帯にメールが来る。
「め、『メールが来たということは死体を見つけたんですね?このボウヤは夜が明けたら解放するつもりですが……警察に通報し私の逃亡を邪魔するおつもりなら、ボウヤの身の安全は保証しかねます……』──ってことは、やっぱりこの男は圭さんが!?」
──やっぱり。私は確信を得た。
「しかし弱りましたね……。新たな死体を発見し、その犯人にコナン君を連れ去られたというのに朝まで手が出せないとは……」
と、蘭ちゃんがハッと声を上げた。
「あ、阿笠博士なら分かるかも!」
「阿笠博士……?」
安室さんが怪訝な顔をした。
私が説明を加える。
「コナン君、いつも発信器付きの探偵バッジ持ってて……それを追跡できる眼鏡をその博士が作って持ってるんです。確かそれの予備があったはず」
そう言って私は阿笠博士に電話をかけた。
「もしもし博士!?」
『おおどうした瀬里奈君……こんな夜遅くに……』
「ごめん、実は──」
博士に大まかな事情を説明し、追跡眼鏡でコナン君を追ってもらうようお願いする。
と、蘭ちゃんの携帯に電話が入った。
「コナン君からかも……!」
蘭ちゃんはそう言って電話を取る。と、こちらにも聞こえるほどの大声が聞こえた。
「も、もしもし?コナン君?」
『どーして急に電話切ったりするんだよ!?ボクのこと嫌いなのか!?』
「せ、世良さん!?」
電話相手は世良さんのようだ。
「ご、ごめん!色々あってこっちパニクってて……。と、とにかくコナン君が大変なの!!」