第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
圭さんをマンションの部屋まで送り、さて帰ろうとした私達を引き止めたのは──
「あ〜〜っ!! トイレに行くの忘れてたァ〜!! 漏れちゃうよォ〜!!」
「!?」
コナン君がいきなり叫んだ。
そしてピョコピョコと飛び跳ねる。
「お、お姉さん!トイレ!! お願い!!」
圭さんはただならぬコナン君の様子に慌てて鍵を開けてくれた。
彼女がドアを開けた瞬間、ふわり、と何かの臭いがした。
何、この臭い──また、頭が痛くなった。微かに浮かぶのは──
……ダメ、分からない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コナン君が部屋に入ってから、安室さんや小五郎さんも「トイレに行きたい」と言い出す。
それを見兼ねた圭さんが「じゃあ少し寄って行きます?」と提案してくれた。
リビングに入り、圭さんがお茶を出す準備をしている裏で、私と蘭ちゃんはテーブルの上のゴミを片付けた。
どうやら昨夜は宴会をしていたらしく、机の上がゴミだらけだったのだ。
小五郎さんがTVを点けると、今日の事件がもうニュースになっていた。
「もうニュースになってるんですね……」
私はぽつりと呟いた。
蘭ちゃんが慌てて携帯の電源を入れる。と、スピーカーにしていないのに相手の声が聞こえた。
『何で電源切ってんだよォ!?心配したじゃないかァ!!』
「せ、世良さん!? ──あ、ゴメン……何か声が途切れてて聞き取りづらいみたい……」
それに気づいた安室さんがピッと蘭ちゃんの電話を切る。
「もしかしたらこの部屋……。盗聴されているかも……」
「えぇ!?」
私含めた4人は驚きのあまり、声を出してしまった。
そして安室さんがおもむろに何かの機械を出した。
「今から全室を回って盗聴器の設置場所を突き止めますけど、構いませんよね?」
「じ、じゃあ5分待って下さい!し、下着とか片付けますので……」
圭さんはそう言ってリビングを出て行った。
10分ほど経ったが、圭さんは戻ってこない。
彼女を待たずに、私達4人は盗聴器を探すことにした。
蘭ちゃんは安室さんの探す部屋の中央で、携帯に入っている曲を最大音量で流し続け、安室さんはその音を頼りに盗聴器を炙り出し、潰して行くということになった。
探して行くと家中の至る所に盗聴器が仕掛けられており、もう4つは見つけ出した。
最後に寝室に入ると──
「何だこの部屋!?かなり臭うぞ!!」