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白い雪【名探偵コナン】

第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)


私はきょとんとしたけど、蘭ちゃんは「そうなんです」とニコニコ笑って言った。
パシッ、と頭が微かに痛む。

「……ッ?」
「お姉さん?」

蘭ちゃんが心配そうに訊いてきたが、私は「大丈夫、です……」と言った。

その間にも、小五郎さんと目暮警部が話を続けている。

拳銃で圭さんを脅して場所を移動させ、尋問することもできたのに、とか何とか。

やがて目暮警部が戻ってきて、圭さんの事情聴取が再開した。

「す、すごく焦ってたみたいです……早くそのコインロッカーを見つけないとヤバイとか言ってましたから……」

圭さんは涙しながらそう言う。

「しかしねぇ樫塚さん……。本当にあの男に見覚えはないのかね?」
「は、はい!全く……」
「あの男の目当てがあなたの兄の遺品である鍵だったのなら、兄の知り合いの可能性が高いんだが……」
「兄の友人にはあまり会ったことがないので……」

と、安室さんが彼女の右側から「ちなみにお兄さんは何で亡くなったんですか?」と訊いていた。
だが圭さんにはよく聞こえなかったらしく、安室さんは少し声を張り上げた。

「お兄さんの死因は?」
「あ、はい……。4日前に事故で……」

そして圭さんが携帯の待ち受けを見せてくれた。

「これが兄ですけど……」
「待ち受けにしてるんですね……」

と、目暮警部があの男の人の携帯を持って顔をしかめていた。

「携帯電話と言えば……自殺した男のこの携帯、妙なんだよ……」
「妙とは?」

小五郎さんが尋ねた。

「樫塚圭さんを装って『会う場所を変えたい』という毛利君に宛てたメールは送信履歴にあるんだが……それ以外のメールが全くないんだ……」

目暮警部はビニールに入った男の携帯をいじった。

どうやらあの男の人は、その後のメールは圭さんの携帯を使って送っていたらしい。だが、写真、送信メールがそれ1つというのも何か引っかかる。

「それにだ、携帯と一緒に男のポケットに入っていた小銭や財布も引っかかる……」
「小銭や財布?」

その小銭や財布は圭さんから奪った例のコインロッカーの鍵やスタンガン、タバコやライターなどと一緒に上着のポケットに入っていたのだが──

「小銭は全部で5千円近くあったんだよ……」
「ご、5千円!?」

そして財布の中身は、1万円札が2枚と5千円札が5枚と千円札が47枚。

「妙だと思わんかね?」

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