第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
──第三者side
パァン!
トイレの中から銃声が聞こえた。
コナンと安室が慌てて駆け出す。
そこには──
「ん〜!! ん〜!! ん〜っ!!!」
拳銃で自殺した男と、ガムテープで拘束された女、そして──
「瀬里奈ッ!?」
──女の傍らで倒れている瀬里奈がいた。
「おい瀬里奈!しっかりしろ!瀬里奈!」
コナンが瀬里奈をゆする。彼女にもガムテープが巻かれていた。
小五郎が女のガムテープを剥がし、蘭が瀬里奈のガムテープを剥がす。
(……脈はある……。目立った外傷もないし……気絶しただけか?)
安室がそう予測を立てた時、瀬里奈のまつ毛が揺れた。
「……ん」
「瀬里奈姉ちゃん!」
コナンが心底ホッとしたような顔をする。だが瀬里奈は焦点の合っていない瞳を向けた。
「……?瀬里奈姉ちゃん?」
「君……誰?どこかで会ったかな?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「とりあえず、瀬里奈君は病院に運ばれたよ……。病院からの結果が出るまで、我々は事情聴取をしよう……」
現場に到着した目暮警部がそう言った。
トイレに連れ込まれていた女の方の事情聴取を始めた。
「ではこういうことかね?
樫塚圭さん……あなたはコインロッカーに捜査を毛利君に依頼する為にここへ訪れたが……毛利君の助手と名乗る男に出迎えられ、スタンガンで気絶させられて……気がついたらガムテープで拘束され、トイレに押し込まれていたと……」
目暮警部が状況をかいつまんでそう確認した。樫塚圭と名乗る女は涙ながらに頷く。
「は、はい……。逃げないようにブーツを脱がされ、靴紐まで抜かれました……」
「そして毛利君達が戻り、トイレにあなたともう1人の女性を監禁していることがバレたと焦ったこの男は……銃口が自分の口に入れて発砲し、自殺したというわけですな……」
しかしあの男は何の目的であなたをトイレに?
そう尋ねた目暮警部に樫塚圭は涙を流し、恐怖しながら言った。
「ず、ずっと質問攻めにあってました……。こ、この鍵はどこのロッカーの鍵だ!?言わないと殺すぞって……」
どうやら樫塚圭の体や衣服からは発射残渣はほとんど出なかったらしい。
「よーし、まずはそのコインロッカーの所在を割り出し、自殺した男の目的を突き止めろ!」