第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
──第三者side
コロンボ。
「へぇー……コインロッカーの鍵ですか……」
「ああ……。先日亡くなった依頼人の兄の遺品からその鍵が出て来たらしいんだが……。どこのロッカーの鍵か分からねーから探して欲しいってわけだ……。大事な物なら棺桶に入れて送ってやりたいからってな!」
小五郎がニコニコホクホクで言う。
蘭が不安そうに小五郎に尋ねた。
「でもそれ、探せるの?」
「鍵っていうのはな、大抵それを作った会社名とシリアルナンバーが入ってるから……その会社に問い合わせてそのロッカーの納品先を訊けば大体の見当はつくって寸法だ!」
「そ、それだけなんですか?依頼内容は?」
安室がびっくりしたように尋ねた。
どうやらそんな依頼で30万もくれるらしい。だったら面倒臭がらなきゃいいのに……とその場の誰もが思ったことだろう。
食事を済ませ、しばらく待っても依頼人は来ない。
「もしかしたらこの近辺にコロンボという店が他にもあるとか?」
「ねぇよ……」
安室の言葉を、小五郎は携帯を見ながらバッサリ否定した。
「会う場所をここに変えようというメールに、OKの返事はしたんですよね?」
「ああ!すぐに返信したし……『ここで待ってる』ってメールもさっきから何度も送ったけど、返事が来ねぇんだよ!」
と、小五郎が「ん?」と何かに気づいた。
「昨夜来た依頼人のメールとさっきのメール……アドレスが違ってるなぁ……」
「え?」
コナンがきょとんとした。
蘭が何かにハッと気づき、慌てたように言う。
「まさか自分の携帯が充電中だったから、友達の携帯借りて慌ててさっきのメール打ったんじゃない?」
「……そして、その友人は携帯の電源を切ってしまったとか?」
「おいおい、OKの返信したのさっきのメールアドレスだぞ!?」
最後にコナンが言う。
「……だったらOKの返事が来てるのを知らずに待ってるかもね!最初の約束通り探偵事務所で……」