第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
講義を終え、私は急いで大学を出た。
「え、瀬里?今日遊ばないのー?」
「ごめん、今日は無理!渡しに行かなきゃいけなくて!」
それだけ言い、私はまずポアロへ向かった。
「こんにちは〜」
「あ、瀬里奈さん!いらっしゃいませ」
梓さんが私に気づいてぺこっとお辞儀をしてくれる。私も合わせてお辞儀をし、話を切り出した。
「どうも梓さん。これ、今日マネージャーから頂いたんですけど……よければここでかけてくれませんか?」
「え、いいですけど……もらっていいんですか?」
「どうぞ!マネージャーに許可もらってますし……私の宣伝にもなりますから」
「確かに!じゃあお言葉に甘えてかけさせてもらいますね……」
梓さんにCDを渡せた所で、私は外の階段を登って毛利探偵事務所に向かった。
(休日のお昼だし……いるよね?)
そう思いながらノックを数回。しばらくするとガチャッとドアが開いた。
「……誰?」
私は思わず言ってしまった。
ドアを開けた人物は、私の知らない人。奥のソファに座っている人も知らない人だけど──座っている人にお茶が出されている所を見ると、どうやら座っている人は依頼人のようだ。じゃあこの人は──?
待って、この部屋に小五郎さん達がいないということは、この人達は留守中に事務所内に入って来てた。その内の1人、依頼人はこの人に出迎えられたと考えられるけど……この人はどうやって入ったの?
怪しい。そう思い、私は携帯を操作して小五郎さんに電話をしようとした。
と、ドアを開けていたその人に携帯を取られる。
「あっ!ちょっと返して!」
「見られたなら仕方ない……」
その人はそう言い、私にスタンガンを当てて気絶させた。
ビリッという電気ショックで私の意識は簡単に消えた。
──小五郎さん、蘭ちゃん、コナン君……。
助けて、新一……