• テキストサイズ

白い雪【名探偵コナン】

第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)


家に帰り、学校の支度をして家を出る。

「じゃあ昴さん、今日は多分昼過ぎには帰れると思うので……」
「分かりました。くれぐれも気をつけて……」

心配そうに念を押す昴さんに、私は苦笑した。

「もう、大袈裟ですよ。じゃ、行ってきます!」

大学へ向かう道すがら、樹、華南、真白君の3人に会い、いつものメンバーで講義室へ向かう。

「瀬里ってば、今日は早いじゃん!どうしたの?」

華南に訊かれた。

「あー……。仕事の関係でね。早朝までだったから……」
「え?ポアロ?あそこ24時間営業だっけ?」
「違う違う、歌手の方。PV撮影に手間取ってね」

そう言うと、3人はカチーンと固まってしまった。

「え?どしたの?」
「……瀬里、あんた歌手デビューしたの……?」
「え?うん。言わなかったっけ?」

昴さんは同居しているから教えたし、梓さんは“あの”現場に居合わせてたし……蘭ちゃん達にも話はしたはず……あれ?

「……言ってないね!ごめん!」

私はあっけらかんと言い放った。
3人はムムム、と顔をしかめる。

「……どしたの?」

私が声をかけても3人はしかめっ面を崩さない。ついには3人でヒソヒソ話をし始めた。

『工藤のヤツが歌手になったなんて聞いてねーぞオレは!』
『それはあたしも一緒よ!』
『ここに来て瀬里奈のルックスが評価された……』
『真白、あんたさらっと核心突くの止めよう?てゆーか何で瀬里はこんな重要なこと教えてくれなかったのよ!』
『アイツのことだから、忘れてたとかじゃねーの?工藤は忘れっぽいしな』
『認知症……』
『『だから怖いことをさらりと言うなと!』』

むーっとしながら3人が話し終わるのを待っていると、見知った2人が歩いて来た。

「……あら、瀬里ちゃん。どうしたの?」
「おお、工藤じゃねーか!CD買ったぞ!」

雨宮瑠璃先輩と植松武人先輩だ。

「瑠璃先輩!武人先輩!ちょっと聞いてくださいよー。私、3人に歌手になるってこと言い忘れてて、今日さらっと言ったらこの有様ですよ?どう思います?」

大まかに事情を話すと、2人は声を揃えて「それは瀬里ちゃんが(工藤が)悪いわね(な)」とバッサリ。

「ひど!もーやだこの人達!ほら、行くよ!」

私は未だコソコソしてる3人を引っ張って行った。

/ 493ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp